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第6話 眼帯の少年 ページ8

 音の正体は琳空のパチンッと両手を合わせた音だった。その音で全員の視線が琳空に集まったが、当の本人はそこまで予想していなかったらしく、顔を赤くして慌てて取り繕う羽目になる。


「こ、琥珀の料理が冷めちまうだろ! さっさと食おうぜ」


 そう言いながら、琳空は自分は案外空気を読めていないのかもしれないと不安になる。しかし、その不安は次の瞬間、泡となって消えた。


「そうだね」


 詩楽が琳空に同意したのだ。そのおかげなのか皆思い思いに手を合わせ、料理を口に運び出す。


「相変わらず琥珀の料理はうんめぇな」


 桜都がおいしそうに魚料理を頬張っていると、インターホンが鳴った。それとほぼ同時に琳空は席を立つ。


「出迎えか?」


 琥珀が尋ねると琳空は頷き、そのまま玄関に向かう。その後ろ姿を見送った桜都は、琳空の箸を見つめた。


「あいつ、インターホンが鳴る直前に箸を置いていたぞ」

 桜都は少し悔しそうに呟くと、ユキが当たり前だとばかりに言った。

「そりゃ琳空は鼻が利くもん。きっと誰が来たかも分かっているはずだよ」

「その代わり、強い匂いは致命的だけどね」


 詩楽は苦笑いを浮かべ、少し前の出来事を思い出していた。その時の琳空は、鼻を押さえ、部屋の中を転げ回っていたのだ。数時間はまともに匂いを嗅ぐこともままならない様子だった。他の面々の中にはそんな彼を面白がって、からかったり笑ったりする者もいた。

 

 その頃、玄関に来た琳空は眼帯をつけた袴姿の少年を出迎えていた。


「烈火、お帰り」

「ただいま。君は元気そうだね」

「そっちもな」


 黒髪の少年、神宮烈火は微笑みを浮かべる。彼は智の剣士。「智」を冠するだけあって、賢く大人びた印象を与える少年だ。琳空は彼が自分より一つ年下だとは思えなかった。むしろ、年上のようにも感じている。


「あ、そうだ。今、夕飯中なんだ。一緒に食べる?」

「いいけど、僕の分ってある?」


 琳空はその言葉にはっとした。今日、彼が帰って来るとは誰も知らないはず。つまり、彼の分はない。この状況で居間に連れ出すのは、気が引けた。しかし、せっかく帰って来たのだ。何もないのは悪いだろう。


「……無いけど、作ればあるぜ。魚はちょうど一匹残ってるし」

「誰が作るのさ?」

「俺か琥珀」

「やっぱり」


 烈火は呆れたように告げた。メンバーの中で料理を作れる者は限られている。烈火は溜め息を吐きたくなった。

第7話 台所の2人→←第5話 森で眠る少年


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設定タグ:剣士 , 仁義八行、神秘、神社 , 姫巫女   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ROM民(プロフ) - 日向信乃さん» すみません、勘違いしていたようです。やはり巡回していると自分でも気付かない内に判断力が低下してしまうようですね…。反省し、改めさせて頂きます。ご迷惑をお掛けして、誠に申し訳ございませんでした。 (2015年11月12日 22時) (レス) id: 67f8438bca (このIDを非表示/違反報告)
日向信乃(プロフ) - ROM民さん» ご指摘感謝と言いたいところですが、この話のどこが二次創作にあたるのか教えて頂けないでしょうか? (2015年11月12日 20時) (レス) id: 149e2c85db (このIDを非表示/違反報告)
ROM民(プロフ) - はじめまして。「オリジナルフラグ」が外れていませんよ。二次創作ですので、棲み分けにご協力お願いいたします。 (2015年11月12日 20時) (レス) id: 67f8438bca (このIDを非表示/違反報告)
天宮信乃 - 。愁音 。さん» 久し振りー!琳空役のもんどす。名前変更しときます (2014年11月24日 15時) (レス) id: 8b41fe3180 (このIDを非表示/違反報告)
。愁音 。(プロフ) - お久しぶりです!忍役の者です!用は無いけど来てみましたー♪ (2014年11月23日 13時) (レス) id: d300b57f7a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:信乃@琳空 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Assuming4/  
作成日時:2014年6月29日 15時

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