【櫻井孝宏】Mｙ Sｗｅｅｔ Fａｉｒｙ (ページ3)

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ｓｗｅｅｔ【3】ページ3

次の日の朝、Aは消えていた。

どこをさがしても、どこにもいなかった。

「やっぱ夢かなぁ…あはは笑」

夢なんだと片付けて水を飲もうとキッチンに行けば目に入るほうれん草のリゾット。

「あれ…」

1口食べてみると昨日と同じ優しい味だった。

「そんな非現実的なぁ……」

なんて言葉を漏らしていると時計が出発時刻の10分前になっていた。

「おっと…かなりやばいねぇ笑」

＊

「はい、ラジオネーム(漆黒のエンジェル)さんからです。」

「ん？？中二病ですかね？」

なんとか、ラジオに間に合った。
新人だと言う女性声優さんと一緒にやっているこのラジオ。
中々人気のようでして…。

「最近、娘が中々寝つきません。絵本を読んであげようと思うのですがお2人が昔読んでいた絵本、もしくは今オススメの絵本などありますか？」

「なるほどねぇ。僕は絵本何読んでたかなぁ。割と昔話とか好きでしたけどね」

「あー！わかります笑私は…あ！『幸せの妖精』って絵本が大好きでした！」

ガタガタンッ

「えっ？櫻井さん？」

彼女が言った言葉に動揺して椅子から落ちた。

「ごめんごめん。それって絵本あるんだ」

「絵本以外ありませんよ？」

「あー！うん。そうだよね。」

ラジオが終わっても動揺は抜けきらない。

「櫻井さん！」

「うぉーっと？」

急いで次のスタジオに行こうとしたところさっき一緒にラジオをやった女性声優さんに呼び止められた。
確かこの人の名前は…立花すずちゃんだったかな？

「どうしたの？立花さん」

「もしよければ、次のラジオ収録の時に幸せの妖精持ってきますか？」

どうやら、俺がきになっていると思っているらしい。

まぁ、気になっているのは本当だ。
今すぐ本屋で探したい気分だ。

ただ、無料でお目にかかれるなら…

「あ、ほんとに？ありがとう！すごい題名から気になっちゃって笑」

なんとか誤魔化してその場を逃げた。