【原神】星空はあなたのために【短編集】

歩くモラ袋 / タルタリヤ ページ5

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　彼と知り合いである私の”心の友”たち…ああ、空や鍾離、散兵が言うには、【公子】タルタリヤは戦いが好きで、家族思いで、かつ思い切りが良く、…それでいて最も頼りないらしい。

　いや、思い切りが良いというのは、よくお金を代わりに払ってくれるという話を聞いたのでそう一言にまとめただけなのだが、財布の中身もなかなか厳しいというのに”好きなだけ食べてください！”などと言ってくれた”心の友”モナは、別の類であると思っている。


　…ところで、北国銀行ってここで合ってる？


「ほう…豪華、天井が高い。ファデュイという組織の経済力を舐めてた」


　散兵に団子をもらったときに、奢らせるのは申し訳ないと言ったが”僕の稼ぎを舐めるな”と言われたことがあった。…今まで舐めていたことを詫びたい。

　それで、今日はここの内装を見学するために来たのではない。まさしく彼、【公子】を尋ねに来たのだから、一瞬たりとも隙を見せてはいけない。絶対だ。


「こんにちは。こちらに伺えば【公子】タルタリヤ殿に会うことができると聞いたので来たのですが、今はどちらに？」

「お客様ですか？ご要件はなんでしょう？今【公子】様は外されていますが」

「…ふむ。言わなくてはなりませんか？」


　当たり前だろうとでも言うように、怪しむような笑みを浮かべている。なるほど、ファデュイという組織はある程度疑い深いのだな。…国家組織なのだから、よく考えてみれば当たり前のことか。


「…はあ、面倒くさい。散兵に招待状か証明書か、適当に書いてもらってから来るべきだった…」


　本当に小さな声で呟いたつもりだったが、”散兵”の名を出した瞬間顔色が変わった。そういうことならとても都合が良い。彼には申し訳ないが脅し文句に使わせてもらおう。

　
「ファトゥスに会いたいのだからファトゥスを連れてくればいいでしょうか。…そうですね、偶然にも私はある執行官とは”親友”なのです」

「わ、わかりました、わかりましたから…。今呼びに行かせます」


　…散兵、何をしたんだろうか。まあ、助かったのだからいいか。今度立場を借りたことの礼をしよう。

　ちなみに、彼が”親友”というのは半分嘘である。

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