〜白と黒〜 久我夢/微甘→甘 (カタギver) ページ10
ここは黒焉街のとある病院。
黒焉街はお世辞にも治安の良い街とは言えない故に、明らかに撃たれたり斬られた痕のある患者が多い。
そんな病院で働く外科医のAは、現在入院している患者の元へと回診に向かい、部屋の前に立つと
久我「ソイツは自己判断で終了だ。奴等を狩りに行くぞ」
という声が聞こえ、Aはふぅ、とため息をついた。そして扉を開ける前に
「随分有能なのですね。いつ医師になられたのか知りませんでしたよ。」
と中に向かって声を掛ける。
久我「うっ…!?」
野島「!?」
すると、病室から明らかに動揺した声が響く。
「開けますよ。」
そう言ってドアを開けると、着ていたはずの病着を脱ぎ、包帯を巻いた体の上から直に黒いジャケットを羽織っている久我の姿があった。
久我「あ、Aセンセイ…」
久我はチラリと野島と目配せし、野島に外に出ているよう指示を出した。
「…さて、久我さん。
Aはニコニコと笑っているが、その笑顔はまるで貼り付けたようだ。久我は困り顔で「この通り!」と手を合わせ、遠慮がちな視線でAを見やる。
久我がこのように未だ入院が必要とされているにも関わらず、抜け出すのは何も今回が初めてというわけではない。
そして(どうせ聞かないでしょうけど)と思いながらも声を掛けるのも、Aと久我は何度目になるかわからないやり取りだった。
「臓器にもダメージ受けてるんですよ?お分かりですか?」
久我「全部終わったら極力安静にしますんで…」
久我(この先生カタギ…だよな?ニコニコしてんのに毎度毎度圧がやべぇ…!)
「そんなに早死にしたいんですか久我さん?」
久我「いやその…!そこをなんとか…!見逃してもらえないッスか…?」
久我が少し頭を低くして目をギュッと瞑ると、少ししてAは深々とため息をついた。
「はぁ…分かりました。では、気休め程度にしかなりませんが…鎮痛薬を出しておきます。万一異常があったらすぐにいらしてくださいね。」
久我「毎度すみません…!ありがとうございます…!」
そうして廊下をチラリと見渡すと、Aは手招きして久我を念のため人気の少ない方から病院の出口へと送り出す。
久我「いつもありがとうございます、センセイ。」
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ひなえ(プロフ) - 特命さん» はい、おりません! (11月21日 22時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
特命 - バグ大学公式では女性極道はいないですよね? (11月21日 22時) (レス) id: 6ea7610922 (このIDを非表示/違反報告)
ひなえ(プロフ) - ソングさん» ありがとうございます!☺️ (2023年2月21日 18時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
ソング - ッスゥ〜好きです (2023年2月21日 17時) (レス) @page19 id: 8c9d1c521b (このIDを非表示/違反報告)
ひなえ(プロフ) - 林檎の花さん» そうなんですね、可愛い名前ですね☺️ (2022年11月19日 21時) (レス) id: a16a1e4961 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなえ | 作成日時:2022年9月18日 18時