ヒューマンバグ大学短編集４！ (ページ39)

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〜勘違い〜　伊武　※特別設定ありページ39

ある日、阿蒜と龍本が巡回業務に当たっていた日のことだった。阿蒜がふと、突然足を止めた。

阿蒜「ん…？龍本の兄貴、あれって…」

龍本「どうした？阿蒜」

阿蒜「あれって伊武の兄貴の彼女さんじゃないですか？」

そう言って阿蒜が指した先には、確かにAが花宝町の繁華街の一角で誰かを待っているのかソワソワした様子で立っていた。

龍本「ん？ああ、本当だな…ん！？」

阿蒜「えぇっ…！？」

阿蒜と龍本はその光景を見てあんぐりと口を開いた。
それもそのはず、伊武の恋人であるAがやって来た男性に嬉しそうに手を振り、駆け寄るとその男性に抱きついたのだから。

阿蒜「え、えぇ…俺見ちゃいけない物見ちゃったんじゃ…」

龍本「…これは、やべえな。」

二人は顔を見合せ、何となく気まずい空気になりながらも事務所へと帰る。
そして事務所へと帰ると鉄棒の手入れをしている伊武が二人に気付いて声を掛ける。

伊武「龍本の兄貴、おかえりなさい」

龍本「おう…」

阿蒜「お、俺お茶淹れてきますね」

どこか気まずそうに目を逸らす阿蒜に伊武が気付かないわけがない。訝しむような目つきで見たあと阿蒜の向かった給湯室へと足を運んだ。

伊武「阿蒜ゥ」

阿蒜「ひっ！？は、はい！何でしょう！？」

伊武「お前戻って来て早々に俺から逃げたなぁ？」

阿蒜「い、いえそんなことは…」

伊武「すぐバレるのに嘘をつくその性根…何も羨ましくねえなぁ」

阿蒜「すいません！実は…」

伊武が手持ちの鉄棒を阿蒜に向けると、阿蒜は慌てて白状した。そして話を聞き終えると、一瞬目を見開いて驚いた顔をしたが

伊武「…そうか、わかった。」

とだけ言って通常の業務に戻っていった。

阿蒜(伊武の兄貴すげえ怒ってる…Aさん大丈夫かな…)

伊武(白昼堂々浮気とはなぁ)
伊武「羨ましくねえなぁ…」

と、エグい覇気を纏った状態で、人知れず小さく呟いた。
そしてその日の夜、突然Aの自宅のインターホンを押す人間が現れた。

(え？誰？宅急便…はこんな時間には来ないし…)

そう不審に思いながらもドアの覗き穴から見てみれば、そこには恋人の伊武の姿があった。

「え？隼人さん！？」

すぐさまドアを開けると、そこには伊武が立っていた。

伊武「A、俺が突然来た理由に思い当たる節があるなぁ？」

「え？？」

伊武「ほお…？すっとぼけようって魂胆か…」