〜水族館〜 久我夢/甘 ページ29
俺は久我虎徹。
久我「ここか…。」
「随分広いんですね…」
舎弟であるAAと、ここで事件を起こして、黒焉街の評判を下げようとするゲスな野郎を探し出すため、如何にもデートスポットの水族館に来ている、地域に優しい極道だ。
…念を押すがあくまで仕事として来ているだけだ。
さて、何故俺とAに白羽の矢が立ったかといえば…
情報屋「黒焉街の評判を下げようとしてる羅威刃の下っ端の男で小谷という。なんでも特にカップルの集まるスポットほど狙っているらしい。」
久我「おいおいまさか…」
情報屋「そのまさかだ。惚れた女が他の男といたのを見たとかで、その女を狙ってるって話だ。小谷は名前も素性も知らない女に一目惚れしたが、一言で言えばストーカーの暴走だ。なんでもその特徴に近いカップルがいたらわざとぶつかったりもするらしい。」
久我「くそ…傍迷惑な野郎だぜ、気持ちわりぃ。その女性の特徴は?」
情報屋「ボブヘアの黒髪、かなり小柄で華奢な女の子らしいぜ。」
久我「わかった、礼を言う。」
久我(潜入が必要だな…と、なると…)
そんなわけで俺は今、Aと水族館に来ているわけだ。
久我「怪しい動きをしている奴が居たらすぐ教えろ。万一爆弾でも持ってたらまずい。慎重に行くぞ。」ヒソ
「はい」ヒソ
スタッフには事前に情報を渡し、何かあれば客を逃して避難するよう話しておいてある。あとはそれらしき奴をとっ捕まえればいい話だが…
久我(だあぁーっクソがぁ!人が多すぎんだよ畜生!)
人がすごすぎてこれじゃ不審者のふの字もわからねぇ!
そしてすし詰めに近いから油断したらAとはぐれそうだ。
Aの実力なら絡まれようとやってのけるだろうが、問題はカップルに程寄り付くらしい事だ。はぐれたらカップルのふりが出来ねぇ!
久我「A、はぐれちまいそうだ。手繋ぐぞ」ヒソ
「は、はい」ヒソ
これは勿論お互い芝居のため予習済み。
そのため、手を繋いだは良いが…
久我、A(俺の/私の手汗やばい!)
久我「わ、悪い!俺手汗がすごくて!」
「い、いえ!私が!私のが!」
久我「いやいやいや俺だから!俺のだから!」
これが後に悲劇を生むとも知らずに、俺達はまるで本物のカップルのふりをして水族館を練り歩いた。
ふと、水族館の予定表を見ると、イルカショーの時刻が書いてあるのが目についた。
水族館っぽい、如何にもカップルや家族連れが行きそうだ。
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ゆう - 一条さんのプロポーズに惚れました!!!! (2022年11月1日 18時) (レス) @page33 id: 945705f77e (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - 一条さぁぁん!!プロポーズが素敵ですぅぅ!! (2022年8月6日 6時) (レス) @page33 id: e9f5fada24 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - 一人一人の話が長くて好きです!更新待ってます( ^ω^) (2022年7月13日 15時) (レス) @page7 id: 52318af24f (このIDを非表示/違反報告)
夢女子うさこ - 嗚呼嬉しいです相良さんいないの多かったので嬉しいです! (2022年5月29日 23時) (レス) id: 2580a6b5e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひなえ | 作成日時:2022年5月27日 13時