ヒューマンバグ大学短編集！

〜服装〜　相良夢/下注意/甘 ページ26

相良side

相良「…。」

「もしもーし、もしもし、聞いてるの？颯誠」

相良「…あぁ？」

「もう！全然聞いてないっ」

相良「ギャンギャン言うなよ、うるせぇな」

「颯誠が聞いてないからでしょっ？明日私隣県まで出張だから、帰り遅くなるからねって言ってるの。夕飯用意しとくから、ちゃんと食べた分のお皿は洗っといてね？」

相良「わーったよ…うるせぇな」

もうっ！とアニメにしたらぷんぷんと音でも出てそうな感じで怒る俺の彼女…Aは何も分かってねぇ。
それにしても今日は一段と機嫌悪いな。

ワインレッドのジャケット、黒いインナー。
ジャケットと同じ色で、膝より少し上のタイトスカート。意味があるんだか無いんだか分かんねぇような黒いうっすいストッキング。しかも高いヒール。

冬ならパンツスタイルになるけど夏は毎度こうだ。
そんなんでいざってとき戦えんのか？走れんのか？と思ってたが余裕で走れて、戦えてた。すげぇな。

見渡してみりゃAを見て鼻の下伸ばしてやがる野郎がうじゃうじゃ。

相良(…見てんじゃねぇよ糞共が…。)

思わず道行くカタギを睨む。Aの恰好が男共の目線を集めてるのはわかってるが、見ていいのは俺だけなんだよ。
俺が思わず顔つきを険しくしていると、それにだけは気付いたAが小さく声を掛けてくる。

「ちょっと…何カタギガン飛ばしてんのよ。」

相良「ガン飛ばしてねぇよ」

「もう…下らない嘘つくんだから…」

Aは溜め息を吐くと、サッと路地裏に視線をやった。

「私こっち見てくるわ」

そう言ってコツコツと綺麗な音を立てて路地裏へ入っていく。

相良「おいっ…ちっ…向こう見てくるからなんかあったら呼べよ。」

「私強いから大丈夫よ」

本当、仕事モードになると可愛気のない女だ。すると数分後何やら不吉な声が聞こえてきた。

「おい、そこのブ男。汚い顔で汚ぇヤクまいてんじゃないわよ。」

男「何だこのクソアマ！」

「でかい声出すんじゃないわよ、臭い口臭が蔓延するでしょ。薄汚い顔面見るだけでも迷惑してんのよこっちは！」

少し心配になり、罵詈雑言を浴びせるAの様子をチラと見ると、バキバキと音がして、倒した男の顔をヒールで思い切り踏み付けていた。なんだか嫌な予感がする。

続きです→←続きです

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す