MTCといろいろしたい！−群青−

90.リク：76.の後、中王区にいた頃の貴女に戻ってしまったときのMTC【Mr.Hc】 ページ24

全ディビジョン顔合わせからしばらくして、貴女は悪夢に魘されるようになる。


――Aオネーサン、倒れるのはまだ早いよ


【…っ！！】


瞳を閉じれば忌まわしい記憶が蘇り、ろくに眠ることも出来ない。

悪魔のような微笑みを浮かべた彼のビジョンに跳ね起きる。

隣を見れば、僅かに寝息をたて眠る左馬刻の姿が。
ほっと息をつき、袂の友だちを抱きしめて心を落ち着ける。


少しして落ち着いた後、水を取りに行こうと立ち上がると、不意に腕を掴まれ、ベッドに逆戻りさせられる。


【さ、左馬刻…？起こしちゃった？】

「……」


顔を少し上げると、暗闇で鈍く光る彼の真紅の双眸と視線がかち合う。

長い間見つめられるので貴女が困惑していると、ようやく口を開いた彼が

「A、テメェ無理してんだろ」と言う。

どうして急に、と尋ねると、

「テメェの行動は筒抜けなんだよ。俺様の前でこそ普通だが、テメェ一人になると途端に人形みてぇになっちまうんだろ」

そこまで言って、その後の言葉を探すように黙り込む彼。
しかしすぐに意を決したように低く静かに次の言葉を放つ。


「俺が顔合わせに付き合わせたからだな」

そう言った彼の表情は弱々しく、後悔の念に染まっている。


貴女が肯定してもしなくても貴女の首筋に顔をうずめて「悪かった」と何度も謝る。こちらの心が痛くなるくらい。


彼は絶対に自分を責める。貴女を苦しめないためにしたはずの選択だったのに、自分の浅はかさの所為で結果的に貴女を苦しめることになったことが悔しくて憎くて仕方ない。

貴女も彼も明るい方に向かおうとしなければ二人共闇落ちしちゃいそう。


謝り続ける彼に、左馬刻も誰も何も悪くないよと言ってあげると、ようやく顔を上げて泣きそうな目で

「…ったく、テメェはお人好しすぎんだよ、ばーか」と薄く笑う。


自分の行為を償うため、貴女のトラウマを克服するため、彼は様々な手を使って貴女の笑顔を取り戻す。



　

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