生きる。【暗殺教室】 (ページ18)

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生きていたら。ページ18

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「あ！ちょっと殺せんせー、お花踏まないで！」

殺「にゅや！？すいません！！」

カ「(爽良、来たよ。)」

日色爽良

そう名が印された墓石の前は、やけに騒がしかった。

そして、全員が一人が触手で手を合わせる。

すると、

『【殺せんせー。】』

確かに、聞いたことのある声だった。

本当なら、生きていたら、今も一緒に笑えていたであろう人。

カ「爽良………！」

『【殺せんせー、殺せなくてごめんね。】』

直接、頭に響いてくるような、そんな声。

殺「本当ですよ。貴方に殺されるのを楽しみにしていたんですよ。」

『【みんなもごめんね。】』

そういって、爽良は駆け出した。

全員がポカンと口を開けていた中で、カルマは駆け出した。

爽良を追い掛けて。

一度、離してしまったその小さな手を握るために。もう一度、抱き締めるために。

無我夢中でカルマは走った。

小さく、儚く、いっそ、子供の様にも見えた背中を見逃すまいと。

爽良は、坂を息一つ乱さずに登った。

カルマは上がり切った息を整え前を向く。

カ「爽良、なんで、死んだの。」

『【俺は、兄を殺しちゃったから。】』

カ「違う。爽良が殺したんじゃない！」

『【殺したのは、俺だよ。逃げてたのも俺だよ。耳を塞いでたのも俺だよ。全部、俺だよ。全部を見えない様にしてたの。怖かったから。

見えるようにしてしまったら、死にたくなると思ったから。だから、あの日の夜、父さんに無理矢理全てを見せられて、死のうと思った。

ごめんね。カルマ。】』

カ「馬鹿ッ……！…馬鹿ッ……！！」

カルマは堪えていた涙が溢れだしたのを乱暴に拭った。悲しみと怒りが混じった瞳で、爽良を見据える。

そして、その瞬間、ふわりと暖かいものに包まれた。

爽良だ。

『【カルマ………！！ありがとう……！！俺と、俺と友達になってくれて。大好き。本当に、ありがとう………】』

爽良は、笑った。

今までで、一番の笑顔。

晴れやかな空を思わせる、優しい微笑み。

目元には、涙がうっすらと浮かんでいる。

暖かい。

カ「爽良………！！」

『【……業……ありがとう……】』

すーっと消えていった、爽良。

カルマは勢いよく上を向いた。

溢れる涙をなんとか留めようとしている。

＿＿＿＿＿空は、雲一つない晴天だった。