【3年A組】キミのひみつ3

泣ける話 ページ26

宇佐美さんも河合さんも頭の上に、はてなをたくさん浮かべている。







茅野「……って感じです！ね！泣けるでしょ？」







茅野さんの話は8割型わからなかったが、残りの2割はたしかに感動した。←え?







「うん、どんな技を食らっても立ち上がり、最後まで諦めない強さ。やっぱりプロレスラーってすごいよね！」







簡単にまとめると、







" 最後まで諦めず、ケガをしてまでも闘い続けるプロレスラーは感動を呼ぶ "







ということである。








ごめんね、茅野さん！








宇佐美さんも河合さんも魂が抜けてしまったかのようにポカーンとしてるから、短くまとめてしまったよ。







茅野「さっすが橘さん！わかってくれると思った！」







ごめんね、茅野さん！







8割はわからなかったよ。







宇佐美「すごい、ね…。話、わかるの…？」







目をぱちぱちしてる宇佐美さん。







いや、わかるって言っても2割だけどね？







でも、茅野さんが長々と楽しそうに語ってくれたから、そんなことは言えない。







実際に、感動の話ではあったし。








宇佐美「ていうか、なんかふたりとも他人行儀だよね」







茅野・A「「へ？」」








声がかぶった！








思わず、茅野さんの方を見ると、ぱっちりと目が合う。







河合「たしかに。話合うみたいだし、もう友達でしょ？名前で呼べばいいのに」







茅野さんと顔を見合せ、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。







それもそうか。







名字で呼ぶのは、たしかに距離を感じる。







「…じゃあ、さくらって呼ぶね？」







茅野「え、あ、えっと、うん！じゃあ、えっと、A…？」






すごく、たじたじしているものの名前で呼んでくれた。






「うん、改めてよろしくね！」






そう言うと、さくらは「うん！」と笑顔で頷いた。






「…それより、ひとついいかな？」







宇佐美「ん、なに？」







「魚住さんは、……何をしてるの？」







私の言葉で3人の視線が魚住さんに移る。







さくらが熱く棚橋と柴田の話を語っているときからずーっと、一点を睨み続けている。








その視線の先にいるのは、瀬尾くん。








なんというか、








………恐ろしい。








宇佐美「あー、それは「せ"っんぶアイツのせいだ…」







唐突に聞こえてきた、地を這うようなドスの効いた声に、思わず身震いしてしまった。

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