私にも守れたら (ページ20)

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17話ページ20

その流れでしばらく3人で雑談していると、

「…あ、始まった」

私の声と同時、にテレビに、見覚えのある上層部の人、根付さんが出てきた。
その後ろには、本部長や城戸司令など、唐沢さん以外の上層部のメンバーが揃っている。

「根付さんだ〜」

「A会ったことあるの？ただのB級のくせに」

「ちょっと失礼ですよ、小南先輩。私B級はB級でも、結構強いんですからね。多分」

「なにそれ」

失言をする小南先輩に、ちゃんと違いますよと釘をさす。自分が強いのかは知らない。ほんとに知らない。

ただのB級が自分のこと強いとか言っといて弱かったら恥ずかしいじゃん。そーゆーのは強い人だけが言っといたらいいと思うね。

一人心のなかでぶつぶつ訳のわからないことを考えていたら、テレビから聞き慣れない声が聞こえてきた。

どうやら、ボーダーからの報告が終わり、記者がボーダーへと質問しているらしい。

嫌味のようにボーダーへ質問してくる記者たち。
横を見てみろ、みるみる小南先輩と陽太郎の顔が険しくなってきているぞ。

だが、それに負けじとボーダーも対抗する。

すると、記者たちが、訓練生のトリガーの仕組みがバレたんじゃないか。前に訓練生がトリガーを使ったのが原因じゃないか、という話を持ち出してきた。

それに対して、その通りだと肯定するように答える根付さん。
まるで一人の訓練生だけを攻めてくれとでも言うような応答。

これは流石に気分が悪い。血眼になって必死にネタを取り上げようとする記者にも、一人の訓練生を売るような真似をするボーダにも。
ボーダーやめようかな。

本気でそう考えてたとき、一人の怪我人が登壇してきた。
突然の事に周りが動揺している中、根付さんを押しどけ顔を上げた彼は、

「三雲くん…」

先日、目を覚ましたばかりのはずの彼が、真剣な表情をしてそこに立っていた。

登壇した三雲くんは、記者たちの理不尽な質問にも冷静に答え、最終的にはボーダーの機密事項である遠征の事も喋ってしまっていた。

まあこれは城戸司令も話を合わせていたし、問題はないだろう。
彼に向けられていた矛先はなくなり、記者たちは遠征で攫われたC級隊員を奪還するというネタに興奮しまくり。

そこでこの会見も終わり、テレビに噛み付いてぎゃあぎゃあと怒っていた小南先輩と陽太郎も、三雲くんに「よくやった！」と喜んでいた。

うん、ホントよくやった。スッキリした。