【短編集】君へ。【ヒプマイ】

・・ ページ9

「ゆ、夢野先生……？」

恐る恐る声を出してみるけど、夢野先生は足を止めない。

やっと止まったかと思えば、其処は彼等から遠く離れた場所。

「あ、あの…」

立ち止まってそのまま動かない夢野先生に声をかけると、すっと振り向いて私の肩を掴む。

「こんなの…柄じゃないかも知れませんが……」

そう言って、私を壁へと押し付ける。

「ぇ、えと…」

華奢な体からそんな力が出るのかと思うほど、私を押し付ける力は強い。

「貴女は、ああいう男の方が好みですか？小生に好きだと言っていたのは嘘だと」

ふっと力が弱まったかと思えば、突然喋り出す。

「夢野先生……あの」

「なんですか？」

「先生のこと、好きって言ってたのは、本当で、その……」

弁解しようとしたのは良いものの、告白まがいな言葉は、恥ずかしい。

顔に熱が集まるのと同時に、私は夢野先生から解放される。

「そう言うことでしたか…小生の早とちりと……」

ﾌﾞﾂﾌﾞﾂと何かを呟く夢野先生。

「いえ、やはりなんでもありません、戻りましょうか？」

なんて何時もの笑顔を浮かべる。

「遅いよ〜幻太郎〜！！」

「すみません、もう大丈夫ですから」

元の場所に戻れば、何故か仲良くなってる私の同級生と乱数君達。

「これから、このオネーさん達も一緒に遊ぶんだ〜！良いでしょ？」

あざとく首を傾げながら、夢野先生に尋ねる乱数君。

「構いませんよ？」

と微笑む夢野先生と、やったー！なんて子供っぽい笑顔を浮かべる乱数君。

「あ、あの、夢野先生…？」

「なんですか？」

「あ、有り難う御座います、本当は三人で遊びたかった筈だろうに……」

そう謝ると、彼はすっと耳元に唇を寄せ、



「貴女と居られるのなら、何処へだって行きますよ」



なんて囁く。

ばっと囁かれた方の耳を押さえながら、夢野先生を見上げれば、

優しく微笑む夢野先生。

嗚呼、どうせ「嘘ですよ」って言われるんだ。

そう覚悟しても、中々出てこない言葉。

「嘘だと思いますか？」なんて悪戯っ子の様に笑う彼の言葉に、大きく心臓が跳ねる。






期待、してもいいんですか……？？

夢野先生と結ばれるのは、あと少しかも知れない………。

伊弉冉一二三 / 好きだから→←夢野幻太郎 / 本当の為の嘘

• 金　運: ★☆☆☆☆
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ラッキーナンバー

8

今日のラッキーカラー！

入間銃兎「俺の色に染まりたい？まだだな、まだ、早い」

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