山田一郎 / ゲームと君 ページ42
タヒネタ注意報
___
今日で、Aがタヒんでから、2年目。俺は、花屋で買った花を彼女のお墓に供える。
序でに、二郎と三郎も珍しく手伝ってくれた、Aの好きなアップルパイも供えて、線香を焚き手を合わせる。
_____
『Aっ!!!』
『あれ、一郎、来ちゃったのかぁ』
屋上のフェンスの向こうで笑う彼女に叫びながら訴える。
『んでそんなとこに居んだよっ!!戻ってこい!!』
一歩ずつ、ゆっくりと彼女に近づく。Aは、近寄るなとも話しかけるなとも言わないから、手を伸ばせば触れられる距離迄近づく。
『ほら、戻って来いよ…』
そう言って手を差し出す。
『なんで……だよっ』
声を押し殺してそう呟けば、口を開くA。
『一郎、私が言った言葉、覚えてるかい?』
落ち着いた何時もの声で、何時もの調子で話すAに頷く。
『うん、私は、負けたんだよ』
『は…?』
確か、小学生の頃に転校してきたAは、左馬刻と一緒でアルビノだった。ある日、オッドアイの俺を虐めていた奴らと俺の間に颯爽と割り込み、
『多勢に無勢って言葉を知らないかな?弱虫』
そう告げた。怒ったいじめっこたちはAに手をあげたが、彼女は反抗もなにもせず、ただただ受けていた。
『おまっ……ボロボロじゃ…』
『怪我はない?えっと……』
やるだけやって帰っていった彼奴らを笑顔のまま見送り振り返った彼女と声が被る。可笑しくて二人して吹き出した。
『怪我はって、お前の方が怪我してんじゃんか』
なんでも笑顔で笑い飛ばす彼女を最初は変な奴だと思っていた。
けど、次第にそれが優しさであり、彼女の現実逃避の末に生まれた生き方だと知り、惹かれていった。
『一郎は、聞いたよな “ なんで笑ってられるんだ ” って』
『ああ、聞いたな』
俺がそう答えると、優しく微笑む。
『私の回復役が、一郎だったからだよ。一郎さえ、隣に居てくれれば良かった』
そう言って彼女は、シャツを少しだけ捲る。俺が顔を少しだけ赤らめると、ちょっと恥ずかしそうにするから。
『これ、負けた証拠だよ、私は教会に行かなきゃ…』
そこには、ベタベタとした白く濁った液体。それを見て、直ぐに何か分かった。
『っ……んで…だ、よ』
衝撃のあまり殆ど言葉になっていない声を漏らす。
『一郎のことを好きな女子がな、根も葉もない噂を流したらしく、な』
淡々と語る彼女の目を見れば、泣き腫らした痕と、濁った瞳。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーナンバー
8
今日のラッキーカラー!
入間銃兎「俺の色に染まりたい?まだだな、まだ、早い」
405人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おやたぬき(プロフ) - Nanaさん» 嬉しいお言葉有り難うございます!プロポーズする独歩君ですね!!了解しました!!!少しお待ちください!!!!リクエスト有り難う御座います!!!!! (2018年8月29日 18時) (レス) id: 2cb3b2c501 (このIDを非表示/違反報告)
Nana - どれも素敵なお話でした!良ければプロポーズする独歩くんのお話 よみたいです!!! (2018年8月29日 17時) (レス) id: 47b6b0fdaf (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 公序良俗さん» 了解しました!!暫しお待ち下さい!リクエスト、有難う御座いました! (2018年8月28日 19時) (レス) id: 2cb3b2c501 (このIDを非表示/違反報告)
公序良俗 - すいません。リクエストで寂雷さんが嫉妬するお話お願い出来ますか? (2018年8月28日 16時) (レス) id: 75b87ef95f (このIDを非表示/違反報告)
たぬきのこ(プロフ) - 朧流水斬さん» ひぇ!!そんな嬉しいお言葉貰ってはにやけが止まりません((独歩くんのヤンデレですね…!少し御待ち下さい!!有難う御座います!!! (2018年8月25日 11時) (レス) id: 2cb3b2c501 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おやたぬき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時:2018年8月17日 10時