伊弉冉一二三 / 好きだった人へ ページ36
久しぶりに、独歩から連絡をもらった。会おう、なんて。
大学で別れて以来、電話以外で話すことなんてなかったから、会えることが嬉しくて。
それに、一二三も連れてきてくれるって言うから、一人で勝手に舞い上がる。
__________
「ま、待ったか…?」
息を切らしながら待ち合わせ場所に来た独歩。
「ん、さっき来たばっかだし、全然」
そう答えればホッとしたように緩む頬。嬉しそう。なんて一人で考えてると、場所を移動するらしく、着いてきて、と言われる。
着いた場所は古民家カフェの様な落ち着いた雰囲気の場所。
「いいか、A絶対に俺より前に、出るなよ?」
入る直前にそう、言われる。何が何だか分からない私は、取り合えず頷いておく。
中に入るとお客さんは私たちしか居ない。
ふわふわとした金髪の男性に近づき、「一二三、来たぞ」そう独歩が声をかける。
「お〜!遅いじゃっ…!?ひッ……」
一二三だろう、彼が後ろを振り向き独歩に話しかけると、その後ろにいた私に気付いて顔を青くする。
そして、小さな悲鳴。
「え、えと……」
悲鳴をあげられたことに若干パニックに陥った私は、独歩のジャケットの裾を握りしめる。
「A、落ち着いて聞いてくれ。一二三は______ 」
信じたく、なかった。中学生の時に好きだと気付いて以来、ずっと好きだった人に。悲鳴をあげられて。
今も独歩の背中越しにおそるおそると言った様子で此方を見る一二三は、恐怖の色を瞳にちらつかせ。
「そ……っか…」
伝えたくても、伝えたら、関係が壊れるから。そう思って言えなかった言葉は、遂に誰にも聞かれずに、消え去った。
「A………」
心配そうな顔でうつむく私の顔を覗く独歩。
そんな青白い顔で、隈も濃くて。栄養摂ってる?自分のことじゃなくて独歩の心配をするのは、現実逃避がしたくて。
「だ、大丈夫だよ?…そ、そっか…私は知らなかったけど、大変だったんだね……ひふ…伊弉冉く、ん…」
やっと絞り出した声は情けないほど震えてて、掠れてて。
聞かれたくない、こんな声。
「A、今…一二三のこと……」
目を見開いて此方を見る独歩は、信じられないとでも言いたげな顔で。
「と、ということはだよ?い、今、無理してるんだ…よね?じ、じゃあ私はこれで帰る、よ」
笑顔を貼り付けて。早くその場から離れたかった。
「元気そう、で何よりだよ、二人とも!!独歩は、連絡取れるし…またね!!」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーナンバー
8
今日のラッキーカラー!
入間銃兎「俺の色に染まりたい?まだだな、まだ、早い」
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おやたぬき(プロフ) - Nanaさん» 嬉しいお言葉有り難うございます!プロポーズする独歩君ですね!!了解しました!!!少しお待ちください!!!!リクエスト有り難う御座います!!!!! (2018年8月29日 18時) (レス) id: 2cb3b2c501 (このIDを非表示/違反報告)
Nana - どれも素敵なお話でした!良ければプロポーズする独歩くんのお話 よみたいです!!! (2018年8月29日 17時) (レス) id: 47b6b0fdaf (このIDを非表示/違反報告)
おやたぬき(プロフ) - 公序良俗さん» 了解しました!!暫しお待ち下さい!リクエスト、有難う御座いました! (2018年8月28日 19時) (レス) id: 2cb3b2c501 (このIDを非表示/違反報告)
公序良俗 - すいません。リクエストで寂雷さんが嫉妬するお話お願い出来ますか? (2018年8月28日 16時) (レス) id: 75b87ef95f (このIDを非表示/違反報告)
たぬきのこ(プロフ) - 朧流水斬さん» ひぇ!!そんな嬉しいお言葉貰ってはにやけが止まりません((独歩くんのヤンデレですね…!少し御待ち下さい!!有難う御座います!!! (2018年8月25日 11時) (レス) id: 2cb3b2c501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おやたぬき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/
作成日時:2018年8月17日 10時