【短編集】君へ。【ヒプマイ】

伊弉冉一二三 / もっと ページ31

静かな部屋に、小さなリップ音だけが、なんども響く。

「んっ……ひふみ、くんっ…」

「はっ……ん、ごめ、」

短いキスとキスの間で彼の名前を呼べば、はっとしたように行動をピタリと止める。

「そ、その……」

彼氏である一二三君の女性恐怖症が治す為に協力をして、早数ヵ月。

漸く普通の会話をして、普通に触れあえる位になって。

初めてのキスをしてみようということになったのだが。

震えながらも優しく一度目のキスをしたときから、彼の様子が可笑しかった。

「どう、したの…？」

顔を覗く様にそう尋ねて見れば、みるみるうちに顔を赤く染めていく。

「あ、や…そのっ……」

“ あまりにも唇が気持ちよくて… ” なんて小さな声で言うから、此方も顔が熱くなる。

「え、えと…」

私が返答に困っていると、突然頭を抱えて唸り始める。

「うぅ…初めてのキスなのに、こんなことして……変態みたいじゃん…っ」

泣きそうな声でそう言う彼を見て、恥ずかしいながらも、声をかける。

「あ……の、一二三君とのキス…気持ち、良かった……よ」

なんて言えば、ばっと顔をあげ「本当に？」なんて言うから、頷く。

「じ、じゃあ…もっとしても、いい……？」

弱々しく聞く一二三君に、頷いて目を閉じれば、膝に置いた手の上に優しく包むように彼が手を置きながら、

また触れるだけのキスを何度も繰り返す。

その度に口から漏れる甘い声と、艶かしい吐息にﾄﾞｷﾄﾞｷと心臓が脈打つ。

一二三君との初めてのキスは、甘くて、蕩けそうだった___。

入間銃兎 / お酒のように*→←観音坂独歩 / 可笑しい

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ラッキーナンバー

8

今日のラッキーカラー！

入間銃兎「俺の色に染まりたい？まだだな、まだ、早い」

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