【短編集】君へ。【ヒプマイ】

神宮寺寂雷 / 大きい ページ4

「せ、せんせっ…」

「おや、Aさん、今日和」

ふわりと優しく微笑むのは、お医者様であり、ｼﾝｼﾞｭｸ麻天狼のﾘｰﾀﾞｰでもある、

神宮寺寂雷先生。

「今日はどうしたのかな？」

「あ…昨日から、喉の調子が可笑しくて…」

そう言って、喉を抑える。昨日から喉がｶﾞﾗｶﾞﾗするのだ。

「ふむ…口、開けてくれるかい？」

「え、あ、はい」

そう言うと先生は少しだけ身体を前にして、私の喉を見る。

「少し赤くなってしまっているね、風邪かもしれないから、薬を出しておくよ」

さらさらとｶﾙﾃに書き込む先生の手は、私より大きい。

いや、手だけじゃないけどさ…密かに先生に想いを寄せる私には、とても遠くて、大きい存在。

「…はぁ」

「ん？どうかしたのかな？」

「あ、いえっ、」

小さな溜め息ですら、気付いてしまう始末。

なら、この先生と会話をする度に、速く鼓動も聞こえてしまうのでは…？

なんていう馬鹿な発想までしてしまう。

「無理しないでね？他にあれば聞くよ？」

優しい目で語りかけてくれる先生が、好きです。

なんて、言う勇気すらないのだから、言える筈がない。

「あ、の…えっと……」

迷惑かもしれない、嫌かもしれない。只の一患者にしか過ぎないのに、

好意を持たれても、複雑だろう。

なんて気持ちがぐるぐると私の頭を掻き乱す。

「ん？」

異変に気付いたのか、膝に置いた私の拳を、その大きな手で包み込む。

驚いて、ぱっと顔を上げれば、心配そうな色を瞳に滲ませた先生の顔。

一気に顔が熱くなり、またうつ向けば、ふふ、と笑う先生の声。

何か、可笑しかっただろうか…？いや、そもそも私自身可笑しいことは重々承知だけども…

「すまないね、あまりにも君が可愛いから」

その言葉に再び顔を上げる。目が合うと、先生は、優しく、嬉しそうに微笑む。

「あ、その、」

私の気持ちを汲み取ったのだろうか。はたまた単なる偶然？

そんなことを考えていると再びかかる声。

「そういう顔をすると言うことは、私に気があると取って、いいのかな…？」

それって…。

聞こうと考えた頭とは別に、口からは、「勿論、です」なんて。

慌てて口を閉じても遅くて、さらに柔らかく微笑む先生は私を抱き締めた。



「君だけの、専属になってあげよう」








甘く囁かれたその言葉に、私は彼の大きな背中に腕を回して、「はいっ」と答えた。

山田二郎 / してほしかったこと→←飴村乱数 / お揃い

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ラッキーナンバー

8

今日のラッキーカラー！

入間銃兎「俺の色に染まりたい？まだだな、まだ、早い」

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