【短編集】君へ。【ヒプマイ】

有栖川帝統 / お金じゃなくて ページ12

仕事の帰り道だった。

「大丈夫ですか…？」

家の前辺りで踞る影を見つけて、声をかける。

「え……？」

男性だ。何故こんなところで踞って居るのだろう。まさか、病気？？

「あ、あの、何処か悪いんですか？」

「へ…いやなんもないけど…？」

そう告げる男性にほっと溜め息を吐く。

「と、取り合えず家に来てくださいっ」

そう言って玄関を開けて、中に促す。漸く明かりで顔が見えたと思えば、彼は、下着とｺｰﾄしか着衣していなかった。

私はなるべく見ないように、

「お、おお、お風呂どうぞ…！！」

と言って、脱衣所へ押し込む。

ｶﾞﾗｶﾞﾗという音を聞いて、ほっと溜め息を吐いて、脱衣所にそっと入る。

タオルや着替え(と言ってもお父さんが置いていったものだが)を置いて、出る。

「ありがとなっ！」

お風呂から上がって、髪の毛をがしがしと拭きながら出てきた彼は、何処か色っぽかった。

「い、いえ…ぁ、これ、どうぞ」

ココアが入ったマグカップを指差す。

「お〜う、なんか悪ぃな、知らない奴なのに…」

「い、いえ！！これは私が好きでやっている事なので…」

彼の言葉に慌てて弁解すると、嬉しそうに口角を上げて笑う。

不意に高鳴る胸の鼓動。

「あ、自己紹介してねぇや、俺帝統な！」

一応ギャンブラー！なんて楽しそうに笑う。

「あ、Aです…」

また世話になるかもしれねぇなぁ、宜しく、なんて他人事みたいに言う彼が面白くて。









楽しそうに笑うその笑顔、私だけのにしたいな……なんて思い始めるのは、

もう少し先の話。

観音坂独歩 / 私だけの先輩→←毒島メイソン理鶯 / 会えなくても

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

ラッキーナンバー

8

今日のラッキーカラー！

入間銃兎「俺の色に染まりたい？まだだな、まだ、早い」

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