-65 ページ15
.
Jk side-過去-
彼女は俺より弱いだろう。
それでも苦難に立ち向かう力強さがあった。
俺にはないものだ。
勝手に体が動いていた。
助けてあげたい。
そう思った。
おばさんの顔面にアイスコーヒーをぶちまけた。
豚の鳴き声みたいな奇声を発しながら、どしん！とおばさんは尻餅をつく。
周りから歓声と拍手。
彼女は……
俺と彼女は見つめ合っていた。
目を反らせなかった。
涙で濡れていて、キラキラした瞳。
とても綺麗だと思った。
俺の淀んだ目とは大違いだ。
それから店長らしき男が彼女にタオルをかぶせたり床を掃除したりと、周りが忙しなくなった。
今日は帰ろう。
俺は外へ出た。
今でも胸がドキドキしている。
彼女は、確かAと呼ばれていた。
A。
恋をした。
ずっと探していたパズルのピースを見つけたような感覚だった。
あの子じゃなきゃだめだ。
俺はあの子じゃなきゃ。
父親が言っていた。
「おまえが結婚して、子どもができた時、俺は引退する」と。
そしてその時、俺はこの財閥の長になれるのだ。
会社に着くとAについて調べまくった。
うちの財閥にいて、出来ないことなんてほぼない。
不可能なことがあるとしたら不老不死になることとか、魔法使いになるとか。
ひと1人の事を調べるなんて超簡単な事だった。
彼女には頼れる親戚がいなく、とても困っているようだった。
住んでいるアパートもとんでもなく古い。
その地区も少し治安が悪い。
彼女のためにマンションを買ってあげようかな。
一軒家の方が喜ぶのかな。
想像をするのが楽しかった。
彼女がいたら、俺は強くなれる。
きっと。
俺が彼女を守るんだ。
それから俺は決意する。
Aを俺のものにすると。
____
仕事が立て込んだせいで、次にホリデイコーヒーに行くのは4日後になってしまった。
また彼女は別の客を相手にしている。
でも今回は怒られていないようで安心した。
レジの知らない店員に飲み物を注文し、いつもの席へ。
すると頼んだアイスコーヒーを彼女が持ってきてくれた。
手が震えていて可愛かった。
そして顔を真っ赤にしてお礼を言われた。
「Aさん、腕は大丈夫だった？」
とっさに名前で呼んでしまう。
彼女は目を大きく開けて、混乱しているのか固まった。
俺は思わず笑ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
う - 最高すぎる！ (2021年8月27日 0時) (
レス) id: e80e14e0ea (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 名作すぎます (2020年1月23日 3時) (レス) id: b6570be25e (このIDを非表示/違反報告)
ぺう(プロフ) - とても良かったです。 (2019年2月4日 12時) (レス) id: 8883837a46 (このIDを非表示/違反報告)
cooky - とても、感動する作品でした！！！最後、ハッピーエンドになってよかったです。けれからも、がんばってください♪ (2019年1月16日 1時) (レス) id: 13ad5ea90e (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - めっちゃ好きで、もう何回も読んでます (2018年10月24日 21時) (レス) id: f12f5d2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ソラン
| 作成日時：2018年8月31日 12時
