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シヨルが「グゥいたー!」と突然走り出してしまい、慌てて追いかけて…
ハッとした。
後ろ姿でわかる。
だって3年間も夫婦だったんだから。
彼はシヨルの声でキョロキョロして、そして後ろを見た。
私の足元のシヨルより先に、私の顔を見て大きな目を見開いた。
シヨルに似てる。
「…A?」
ジョングクに名前を呼ばれた…!
全身に鳥肌が広がる。
「…グク、なんで」
やっと言葉を発することができた。
久しぶりに名前を呼んだ。
あまりの驚きで涙が出そうで出ない。
シヨルは不安そうにじっと私の足にしがみついている。
「…なんでここにいるの?」
「シヨルが、来たいって言うから」
「…とりあえず、座りなよ」
ジョングクがベンチを開けて座るように促す。
久しぶりの彼の匂いを感じて体はガチガチに固まってしまった。
話したいことがたくさんあるのに、言葉が全然出てこない。
「シヨル、そこで遊んでる?」
「ううん」
シヨルは私の隣に座って、未だにじっとジョングクを見つめている。
なんなんだろう。
なぜ、シヨルとジョングクが?
「…A、時間ある?」
突然呼ばれてびくりと体を動かすと、真面目な顔をした彼が私を見据えていた。
「うん、大丈夫」
「最初から、話し合わない?」
「え」
「嫌?」
「ううん。
…私たち、なんでこうなったんだろうってずっと思ってた」
「うん、そうだよね」
そうして私たちは出会ったころの話をした。
お互いに、まるで答え合わせのように。
なんで私を好きになったのか。
なんで「俺と似てる」と言ったのか。
全てを知った。
私がずっと知りたかった真実だと思った。
それに、彼があの時そんなにもつらい思いをしていたなんて考えもしなかった。
私は何てことを言ってしまったんだろう。
「消えて」なんて。
本当に思ってもいない言葉。
謝っても謝りきれない。
全ての原因は自分にあったということだ。
「ごめん、グクごめんね…」
涙を流す私を、あの頃みたいに彼は撫でてくれない。
彼も彼で泣きそうに顔を歪めている。
「俺は、Aに嫌われた訳じゃなかったって知れて良かった。両思い、だったんだね」
「…うん」
今は、どうなんだろう。
もう彼には新しい恋人がいるんだろうか。
その時、泣いている私を見てまたシヨルがぐずり出した。
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う - 最高すぎる! (2021年8月27日 0時) (レス) id: e80e14e0ea (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 名作すぎます (2020年1月23日 3時) (レス) id: b6570be25e (このIDを非表示/違反報告)
ぺう(プロフ) - とても良かったです。 (2019年2月4日 12時) (レス) id: 8883837a46 (このIDを非表示/違反報告)
cooky - とても、感動する作品でした!!!最後、ハッピーエンドになってよかったです。けれからも、がんばってください♪ (2019年1月16日 1時) (レス) id: 13ad5ea90e (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - めっちゃ好きで、もう何回も読んでます (2018年10月24日 21時) (レス) id: f12f5d2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月31日 12時