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ユンギ先生は忙しいのか、来ない。
鎖で犬のように繋がれて3日。
ジョングクは仕事をしつつ、私と自分の分の料理もしている。
ちゃんと三食。
お風呂は入れていない。
体は濡れたタオルで彼が拭いてくれる。
トイレに行きたいと言えば担がれて、終わるとまた担がれてベッドへ。
ユンギ先生が来たらちゃんと話してみよう。
ジョングクは今正気を失ってると行っても過言ではない。
目がどんより濁っており、笑わない。
今のジョングクに話すよりユンギ先生に話した方が良いだろう。
私は彼を刺激しないように、大人しくしていた。
話しかけたりもする。
「ごはんありがとう」とか「少し寒いから暖房を上げてくれる?」とか。
あえて普通のことしか言わないようにしている。
眠る時は一緒だ。
鎖が邪魔だし、動くとジャラジャラうるさい。
でも解いてはくれなかった。
「ねえ、グク」
「……なに?」
「あなたって、私より年下?なの?」
「…思い出してはいないの?」
彼は少し戸惑っていた。
たぶん私が記憶を取り戻して、韓国へ行ったのだと勘違いしているのだ。
「実は釜山の〇〇小学校に行って、アルバムを見たの」
「!」
「そしたら私はいなかったけど、代わりに一個下の学年に貴方がいたから」
「……うん。〇〇小学校は俺の母校。そして俺はAより1つ下だよ」
やっぱりそうだったのか。
じゃあジミンはもしかしたらジョングクを知っているのかもしれない!
「Aは大邱の出身だから、そっちの小学校だよ。詳しくは知らない」
「そうなんだ…」
「中学校も高校も俺の母校」
「…」
「…Aと一緒に小学生から高校生まで過ごしてみたかったなって思って」
「それで自分の母校を…」
「うん…」
しん、と静まり返る。
グクは俯いたまま、まだ目は虚ろだ。
「私とグクの出会いはソウルのカフェで合ってる?」
「はは、すごい。よく分かったね」
彼は自嘲気味に笑った。
表情は変わらない。
「はは」と言っただけだった。
「ソウルに行って、そのカフェに見覚えがあって、入ってみたの。そしたら、なんとなくグクを思い出して…」
「なるほどね…。うん、俺はAヌナの働いてるカフェに通ってた」
へえ〜と少しわざと、明るく言ってみた。
彼がコーヒー嫌いというのは嘘のようだ。
きっと記憶を取り戻さないためについた嘘。
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ソラン(プロフ) - shinov347さん» コメントありがとうございます!そんなこと言って頂けるなんて、嬉しいです(^^)続編頑張ります!これからもよろしくお願いします! (2018年8月30日 19時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
shinov347(プロフ) - この作品!!本当にびっくりするほど面白くて、興奮しっぱなしでした。。。作者様天才ですほんとに。続き心から楽しみに待っています。このストーリー思い付いた作者様本当に神ってます。ほんとに。 (2018年8月30日 18時) (レス) id: 7f3f1e52e8 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - ちむちむさん» ありがとうございます!ちょっと展開急ぎすぎた感ありますが、最後までぜひ読んでください〜! (2018年8月30日 12時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
ちむちむ - 今見ました!凄い展開ですね!楽しみです!頑張ってください! (2018年8月29日 23時) (レス) id: 44bb68e7e6 (このIDを非表示/違反報告)
ソラン(プロフ) - うゆ子さん» コメントありがとうございます!第1章、なんとか終わりそうです^ ^ぜひ最後まで見届けてください! (2018年8月29日 22時) (レス) id: 8103dd882b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソラン | 作成日時:2018年8月21日 20時