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午前、午後と特に変わりなく過ぎていく。

Aさんは俺の稽古を見てくれて、助言をしてくれる。
面で相変わらず表情はわからないけど、いつもの同じような感じだった。
匂いも変わりはなかった。

「さて、日が暮れるから帰ろう」

昨日と同じようにAさんと帰る。
俺は少しでもAさんに俺のことを覚えていてほしい、何かできないか、と考えていた。

俺は気づかぬ間に、手を繋ごうをAさんの手を触っていた。

「っあ」

Aさんの指は、思っていた以上に細かった。でも、刀を握っている手と感じられるような、皮の厚い手だった。

「……手、繋ぎたいの?」

「え?」

狐面の目が俺を試すように見下ろしている。
今、勇気を出さなければ。
心臓がバクバクバクバクと波打っている。喉の奥が乾ききっている。

「……はい」

俺はAさんの手をぎゅう、と握った。
Aさんの手が、俺の手を握り返してくる。

また鼓動が早くなる。
顔や頭が熱くなって何も考えられない。

「炭治郎くん、あったかい」

にぎにぎと手を握られる。弟や妹も手を握るのを繰り返していたな……。

「炭治郎くん、私、炭治郎くんに会えて良かった」

俺を見つめる狐面は先程までとは違う表情に見える。

「なんか、成長できた気がするんだ」

ふふ、と笑う声が狐面の裏で響く。
その後、俺たちは特に何も話さずに家に着いた。






「お世話になりました」

鱗滝さんに挨拶したAさんは、もっと夜が深まった時に出ていくらしい。
俺は、何も伝えられずに夜を過ごすことになった。



目が、覚めた。まだ夜。
ガタガタと戸が開く音がした。
Aさんが出て行ってしまう。

少し経ってから、俺はAさんを追いかけた。





「はぁっ、はぁっ」

Aさんは足が速い。もう会えない、そう思うと居ても立っても居られなかった。
最後に。本当に最後に。
Aさんに会いたい。

「Aさんっ……!!」

その時、森の茂みからガサガサっと音がした。

「!!」

鬼、鬼だ。
今の俺は丸腰。何も持っていない。

このままじゃ、

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花帆 - 年上夢主さんに甘えてしまう炭治郎本当に可愛い(大好物)ので読めて嬉しいです! わぁ、また書かれた際はぜ拝読できるのを楽しみにしておりますね(*´ω`*)  (2019年9月2日 19時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - 花帆さん» コメントありがとうございます!お兄ちゃん炭治郎が年上相手にどうするのか書いてみたかったので、好きになっていただけてよかったです^ ^続編もできたら書いてみようと思います。応援ありがとうございます( *`ω´) (2019年9月2日 17時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
五十土(プロフ) - 鈴香さん» コメントありがとうございます!時間ができたら頑張ってみます!応援ありがとうございます(`・ω・´) (2019年9月2日 17時) (レス) id: a2d3564c6a (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 一気に読ませて頂きました!年上に恋する炭治郎めっちゃ良かったです(*´ω`*) 可愛い…鬼殺隊に入ってからの炭治郎めっちゃカッコ良くなりますし、両想いになるまでやなった後もすごく見てみたいです…!続編も読めると嬉しいです(o>ω<o)受験ファイトです! (2019年9月1日 12時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
鈴香(プロフ) - この作品すごく好きです!!続編や番外編!楽しみにしてますね!受験頑張ってください!(*´ω`*) (2019年8月6日 15時) (レス) id: 433bf9ff90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:五十土 | 作成日時:2019年4月30日 1時

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