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「その友人達を次々に傷つけている通り魔の狙いが、君だとは思わないのか?」



 冷や汗が、背中を伝う。そんなこと、今日まで何度も考えてきた。何度も考えて、その度に、目を背けるようにそれを否定して、なんとか心の平安を保ってきた。
 そうでもしなければ、何かが、俺の中で崩れてしまう気がしたんだ。

 目を背けてきただけで、あんたに言われなくたって、そんなこと分かってる。報告を受ける度に感じる罪悪感の正体が、目を背ききれなかったそれだという事くらい、嫌でも、分かってる。



「……うるさい」

「その様子だと、随分と悩んでいたんだな」

「うるさいっ」



 正面に立つ彼女を、精一杯睨み付ける。分かった風に言うな。俺がどれだけ悩んだかなんて、いつもヘラヘラしているあんたは、なにも知らないくせに。



「安心しな。君のことも、君の友人のことも、私が守る。絶対だ。今ここで、約束する」

「……勝手にしてください」



 そう彼女に吐き捨てて、俺は逃げるように、仮眠室に駆け込んだ。























「山本も災難だったなぁ」

「いやぁ、ご心配お掛けしました。でも見ての通りピンピンしてるので、いつも通り撮影は出ますよ!」



 伊沢さんと山本が話している声が、遠くから聞こえてくる。その内容に、思わず喉の奥がひゅっと鳴った。

 神津さんとの一件があってから、二週間。オフィスで寝泊まりするようになったこうちゃんの無くし物は減り、友人からの良くない報告も途絶え、やっぱり気のせいだったかと本調子を取り戻していたある日、それは起こった。


 伊沢さんに連れられた山本が、部屋に入ってくる。彼の左腕には痛々しく包帯が巻かれており、一つの嫌な予感が俺の頭を過った。
 まだ、終わってなどいなかったのだ。



「え、ちょ、山本さんどうしたんですかその怪我」

「あはは〜朝通り魔に襲われてね。大した傷じゃないからすぐに治るよ」



 通り魔。そのたった三文字だけで、俺の中に立った仮説が仮説ではなくなった。







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白菜(プロフ) - 河良紅好さん» ご報告ありがとうございます!助かりました!早急に修正させて頂きます! (2020年6月16日 22時) (レス) id: a14ef8aee6 (このIDを非表示/違反報告)
河良紅好(プロフ) - はじめまして、陰ながら白菜さんの作品を楽しく拝見させて頂いてます。大変失礼ですが、事件No.5の2ページ目の「マーキング」が「マーケティング」になっていました事をご報告させて頂きます。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: a18b40da37 (このIDを非表示/違反報告)
るーと - この作品を読むのが最近の密かな楽しみになっています。ご無理をなさらない程度に更新頑張ってください!これからも楽しみにしてます! (2020年6月12日 21時) (レス) id: 300feac1d8 (このIDを非表示/違反報告)
餅兎(プロフ) - 遅ればせながら新作ありがとうございます…! Twitterで設定をお見かけして以来ずっと心待ちにしておりまして、余りのことに学校滅ばねえかなとまで考えておりました。早速背筋の凍るような展開にゾクゾクしております、更新頑張って下さい。 (2020年6月11日 20時) (レス) id: 10f5dc34bc (このIDを非表示/違反報告)
神木(プロフ) - 占ツクを開くたびに更新されてないかなーって確認するくらい更新とても楽しみに待っています!更新頑張ってください! (2020年6月11日 16時) (レス) id: ded004bcdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年6月9日 19時

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