第24話 ページ26
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彼と談笑しているうちにハムサンドが出来上がったようで、私はそれを受け取ると手短に『いただきます』と口にして、早々に食べ始めた。
『美味しい』
「本当ですか!良かった」
はじめも挨拶してくれた茶髪の女性はとても綺麗な人で安室さんが女性を集めるのだとしたら、男性を集めているのは彼女だろうな、と素直に思った。
「普段は安室さんが作るんですけど、今日はまだ来ていないので、」
少し気まずそうに言ったが私はそんなのは気にならなかった。
『安室さんのハムサンド、とやらは分からないが、これはとても美味しいですよ』
本心である。
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
少年も穏やかに笑っていた。
穏やかすぎて、君本当に小学生?と呆れたくなる程だ。本人に言うのは面倒なので心に留めておく。
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どのくらい話していたのだろうか。
小学生相手にここまで話が弾むのは想定外だったが、悪い時間ではなかった。
寧ろ有意義だったといえよう。
そろそろ会計を、と席を立った。
『少年も帰るかい?』
「うん!またね梓さん!」
女性の店員__アズサというらしい__に別れを告げ、もうとっくに私が攫った伝票を探す彼に、ここは大人に任せな、と言うと、悪いから、と返されたので子供は甘えてなんぼだと言いくるめた。
そしてお金を払ってアズサさんに「また来てくださいね」と微笑まれた。そのつもりである。
入る時に綺麗な音のなった扉に手をかける。
その時後ろから店員らしき人が出てきた。
私はその人を一瞬目で捉えるとハッと目を見開いて、それからゆっくり首を扉の方に戻し、押し出した。
『はい、また来ます』
からんからん、とやはり小気味の良い音がした。
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のん@天使から墮天使 - 涙ぐみました。泣いてないよ、ここ大事← メール開いたときとお墓の前での所で…。夢主ちゃん、これからも頑張って!諦めないでね!(何この文章←)この作品を作ってくれた作者様、ありがとう。 (2019年4月2日 23時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
のんふらい(プロフ) - 凛亜さん» そんな風に言って頂いてありがとうございます…!もともと思い付きで書いてしまった作品なので素直に嬉しいです。これからきっちり完結させるのでこれからもよろしくお願いします!(レス遅くてすみません…) (2018年11月11日 13時) (レス) id: c22e0167f3 (このIDを非表示/違反報告)
凛亜(プロフ) - 切ない…;; 松田さんの墓の前で夢主が想いをぶちまけるシーンで泣きました… これからも応援してます…! (2018年8月27日 14時) (携帯から) (レス) id: 5bf9e29951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんふらい | 作成日時:2018年8月16日 20時