第12話 ページ14
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『はぁ……』
散々泣き喚いたらスッキリした、と思う。
私は死んでもこいつに助けられてばかりなのか、と自己嫌悪したけど元はといえばこいつのせいなのだから当然か、とこじつけた。
そろそろ帰ろう。目も腫れて服も濡れて皺くちゃで、とにかく気持ち悪い。
もう一度、はぁ、と息を吐いた。
幸せなんざこいつにくれてやる。
話しかける前に墓は綺麗にしたのでもう良いだろうと荷物を持って去る。
正確には、去ろうとした、だろうか。
後ろを振り返ると私が醜い感情を向けていた
私はこれでもかと言うほど目を大きく見開く。
その反動で涙が一筋溢れたことには地面にそれが落ちた音でやっと気づけた。
あっ、という声を漏らさなかった自分を褒めたい。
私はゆっくりと、なるべく平静を装って__まず目が充血してるだろうからその時点で平静を装えてはないのだけど__横を通り過ぎた。
軽く会釈することも忘れない。
と、ここでまたしても想定外のことが起こる。
「待って」
「貴女、松田君の知り合い?」
彼女の声が震えているのは彼の死を嘆いていたからなのか、私と話すことに緊張しているのか、はたまたその両方なのか、分からなかった。
けれど、彼女に私の存在は認知されていないのだろうと分かりつつも、実際それを聞くと少しショックである。
彼女の眼中に私がいなかったように彼の眼中に私はいなかったのだと、その現実が迫ってくるようで。
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のん@天使から墮天使 - 涙ぐみました。泣いてないよ、ここ大事← メール開いたときとお墓の前での所で…。夢主ちゃん、これからも頑張って!諦めないでね!(何この文章←)この作品を作ってくれた作者様、ありがとう。 (2019年4月2日 23時) (レス) id: 8589870327 (このIDを非表示/違反報告)
のんふらい(プロフ) - 凛亜さん» そんな風に言って頂いてありがとうございます…!もともと思い付きで書いてしまった作品なので素直に嬉しいです。これからきっちり完結させるのでこれからもよろしくお願いします!(レス遅くてすみません…) (2018年11月11日 13時) (レス) id: c22e0167f3 (このIDを非表示/違反報告)
凛亜(プロフ) - 切ない…;; 松田さんの墓の前で夢主が想いをぶちまけるシーンで泣きました… これからも応援してます…! (2018年8月27日 14時) (携帯から) (レス) id: 5bf9e29951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のんふらい | 作成日時:2018年8月16日 20時