炭酸水 -泡泡- (ページ37)

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裕ここ

仕事終わり、このメッセージを確認して少しびっくりした。

｢何かお洒落｣

いつもはもうちょいアットホームな感じのお店なのに。今日はいつもとちょっと違った。

…ま、そんな気分の日もあるか。

一瞬戸惑ったものの、そんな風に片付けた私は急いで身支度をすませてから出る準備をした。

裕さき入ってて

裕あとちょいかかる

店の前に到着するタイミングで図ったように届いたメッセージに目を通す。

乱れた髪を整えて、ペちゃんこになったハンドクリームを絞り出してから、分かったの返事を打って先に入店する。

『いらっしゃいませ』

予約の名前を言うと、奥目の席が用意されていて、御注文はお連れ様がいらっしゃった時になさいますかという質問に、はい、軽く返事をした。

少しのあいだ待ってるとドアの開く音がして。

その足音は私の方向に近づいてきているから、彼の到着を知らせてくれる。

t｢ごめんね、遅れちゃった｣

｢うーうん｣

t｢何か頼んだ？｣

｢まだ｣

ハットを脱いで髪の毛をガシガシ整えた裕ちゃんは、メニューを私にも見やすいように開いて

t｢食べたいのは？｣

沢山あるね、なんて言いながら聞く。

｢これとこれとこれとこれと、これ｣

t｢…そんな食えないの知ってるもん俺｣

｢裕ちゃん手伝ってくれるの知ってるもん私｣

t｢お箸トントンしだしたら俺逃げ帰ろうかな｣

｢やだ、泣く｣

結局私が指したもの全部頼んでくれて、料理が全部届いた瞬間あまりの多さに2人とも絶句した。

t｢…これ食えるの｣

｢誰、こんなに頼んだの｣

t｢こっからここまでAの分ね｣

｢むりむり、比率おかしいって！
一緒に食べようよっ｣

多すぎたと後悔してから食べ始めた私たちだったけど、あまりの美味しさに手を止めることなくどんどん食べ進めて。

｢美味しいね｣

t｢ね、全部いけんじゃん？｣

裕ちゃんは余裕の笑みさえ浮かべていた。

ただ、さすがに私は限界を迎えて。

お箸をトントンし出すと笑いながら

だから言ったじゃん、お皿貸して？って私の分も平らげてくれた。

ここまでの和やかな雰囲気が変わったのは、

食べ終わったお皿が片付けられて、
デザートがお互いの前に来た時。

｢今日Aとご飯に来たのはね｣

って彼が口を開いて私と目が合った時だった。

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