炭酸水 -泡泡- (ページ36)

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『瞳がね、瞳がすんごくキラキラしてたの。

私が旦那のことを絶頂で好きだった頃みたいなめ。笑』

ｷﾗ-ﾝなんて効果音が入りそうな目で私を見た。

｢なるほど、笑｣

『ちょっとふざけちゃったけど笑

まぁ、要するに好きな人を考える顔だったわけ。あぁ、甘いねー。懐かしい！

しかも彼の場合、悲哀な色も加わってたのよ。

あれはほんっと、こっちまで胸が痛くなったなぁ
切ない恋でもしてんのかね、天下のアイドルくんが。世界ってやっぱ不思議ね〜。

あ！！あとは、ハンドクリームの種類！』

｢種類？｣

『私が教えたハンドクリーム、海外に本店があるブランドでね。

日本店では手に入れられないような商品もやっぱり多々あったりするわけじゃん。
その中でもほんと手に入りにくい方をさ、わざわざ手配して取り寄せてるんだもん。

重度のシスコンじゃない限りあそこまでしないと私は睨んだって訳。』

人差し指を振りながら息を弾ませて話すマキコさんの話を甘い珈琲を口に含ませてから、じっくり考える。

今鞄に入ってる彼から貰ったハンドクリームはどんなものだったっけ。

私の勘違いor偶然の率が高いけど。
彼から素っ気なく貰ったあれは日本店舗で見たことがなかったような気がする。

『あ、今私持ってなかったっけ』

そんなことを考えてると、次はさっきコンシーラーを直していたのと別のポーチを出してガサガサ探し出していて、

『あの子に見せたパンフレットがあったわ！』

とニコニコ私の前に差し出してくれた。

『ね？これお姉さんではないでしょ』

証拠よ証拠。まだマキコさんが目の前でうきうき私に話してるけど、私の頭にはこのパンフレットのせいで全く1ミリも内容が入ってこなかった

｢…まぁ、ついでに｣

視線も合わせずに、なんなら欠伸を我慢するように言ってた彼がフラッシュバックする。

正直、薄々彼は私を、、
そうなんじゃないかってあの頃から思い始めてた。

だけどあの距離が良くて、あのままが良くて、違うそんなはずない。って自分勝手に解釈して済ませていた言葉とか、行動とか、視線とか、

それが全部、今。やっぱり彼からの気持ちだったんだって傲慢にも泣きそうになる。

…ぜんっぜんついでじゃないじゃん。

そういう時は、そんな時だけは、堂々とドヤ顔で渡していいんだよ。

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