炭酸水 -泡泡- (ページ26)

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2｢いや、そんなことないけど｣

｢そっか｣

2｢…何｣

｢なんか、痩せたように見えたから｣

2｢ふーん｣

会話を続けようとする私をあからさまに嫌がって返事は淡白だし、さっきから少しずつ右側にずれて私との距離を離していってる。

傷つきそうな手前でなんとか堪えて

｢あ、そうだ｣

また話題を持ち出して話しかけようとすると、
彼はタブレットから目線を外すことなく

2｢いつまで此処いんの｣

冷たく言った。

2｢書類受け取ったしもう良いじゃん｣

無表情で口を開く彼の感情を読み取れなくて、本気で言ってるのか、言ってないのかも分からない。

…だけど。

ニカちゃんは、たまに、感覚がズレてる時があるのは昔からの付き合いで知っていた。

良かれと思って言ったり、したりした事が、裏目に出ちゃってるところを何回か目撃したことがあったから。

…そんな彼の特徴に賭けたくて。

｢ねぇ｣

2｢…｣

｢これはいつまで続くの？｣

タブレットを押し下げて無理やり視線を上げさせた。

2｢何が｣

｢こんなの、私望んでない。｣

2｢は？｣

｢こんなのが普通の距離って言いたい訳？｣

2｢…何が言いたいの｣

｢そのまんまだよ。

ニカちゃんは私たちの距離が近すぎるからって言った。普通の距離感に戻して裕ちゃんとの関係がいい方向に転ぶように応援する為だって。｣

2｢で？｣

｢私の為を思ってそう言ってくれたことは分かってるけど、ちょっとこれは極端すぎるよ。

こんなに……避けられるような扱い受けるんだったら、あの時嫌だって拒否するべきだった！

普通の距離とか、もうそんなのいら…｣

2｢どこまで自分勝手なわけ？｣

やっと視線が合ったのに。

そんな冷たくて怖い目で睨みつけないで。そんな目、知らない。

2｢言いたいことはそれだけ？｣

｢…え｣

2｢あのさ。

どっちかひとつ大事な方を選ぶんだったら片方は捨てなきゃダメだって分かんないの？

どっちにもいい顔しようとする浅はかなとこあるよ、Aには。｣

｢そんなこと…｣

2｢これ以上幻滅させないで。頼むから。｣

｢待っ…｣

刺さるような視線を存分に浴びせて、トドメを刺すような深いため息をついて聞かせたあと

彼は席をたった。
食べかけの昼食を机に残したまま。

寝起きのような頭の状態の目の中には歩いていく彼が鮮明に映し出されている。

だけどその視界はぐるんぐるんに歪んでいた。

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