炭酸水 -泡泡- (ページ15)

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A今日は帰って欲しい。ごめん。

掃除機をなおし終わってソファで休憩しようとスマホを開いたらこれ。

既読がついたのが向こうにもわかったのか、

Aごめん

とまた立て続けに送られる謝罪の言葉。

…正直そんな気が何となくしてた。

｢ごめん、今日帰るの少し遅くなるかも｣

｢仕事？｣

｢そ。裕ちゃんが｣

｢そっか分かった｣

気付いてたんだ。彼の視線に。

最近よく俺たちを見つめてたことに。
目の合う回数だって多くなった。

今日もそう。
今日も俺は玉と何度も目があった。

気まずそうに視線を外す玉の顔だって、丁度見慣れ始めたとこ。

彼がやっと動いたかと思った反面、Aのこの文脈はちょっと引っかかる。

なんで気分おちてんの？

お前の大好きな玉がやっと動きだしたんなら、もっと俺が落ち込む暇もないくらいにっこにこで報告して欲しいのに。

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｢…っなんでいるの、帰ってって言ったじゃん｣

ボロッボロの化粧と髪の毛。ひっどい姿で帰ってきた君は相当疲れてるようだった。

｢何かあったんでしょ｣

｢別に、無いから。ほんと今日は帰って｣

｢それがおかしいもん｣

｢いいから帰ってってば！｣

｢A｣

｢…ごめん。ニカちゃんにあたりたくないの｣

軽く頭を抑えながら鞄を放り投げる君は酷く混乱してるみたいだった。

｢今日、玉と会う予定してたよね｣

瞳の奥が揺れる。

…あぁ、やっぱり。

｢何があった。何でそんな泣いてんの｣

俺も自分でびっくりするくらい冷静な声が出て、Aも肩をビクつかせた。

｢帰らないよ。俺は。理由話してくれるまで。

そんな何かあったって分かる態度のA置いて帰るとか俺は無理だし。｣

引き時の覚悟なら出来てるから。早く理由を教えて欲しい。

｢座ろうよ｣

それでもやっぱり突っ立って動かない頑固な彼女は唇を強く結んでる。

｢座って落ち着いて話そう｣

俺が先にソファに座って、Aにクッションを投げ渡す。

仕方ないように気だるくクッションを受け取った彼女は、暫くそれを睨みつけた。

と同時に彼女はまた目を真っ赤にし始めて、

｢もう、分かんないよ！｣

とうとうそれを床に投げつけた。

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