【wrwrd】突然の思いつきによる初心者の短編集。 (ページ17)

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続き。ページ17

始まりは、Aさんが俺の部署に配属されてすぐだったと思う。

当時Aさんの教育係だった俺は、先述した通り、友人達とご飯に行ったりとか仕事終わりに飲みに行ったりする際彼女を連れていっていた。

まあ、ご飯に行けば俺の大食漢ぶりも普通にバレるわけで。

当時怪力女だったAさんが、毎日弁当を作るからその講評をしてほしいと俺に頼んできたのだ。

十中八九、俺の食べる量が多いから自分の作った弁当も食べる余裕があるだろうと踏んだのだろう。
まあその通りなので、すぐにオーケーはしたが。

お察しの通り、Aさんは超絶料理が下手な初心者ちゃんだった。

チャーハンを作れば油を入れ過ぎてベチャベチャ。ハンバーグを作れば丸めるのに失敗、さらに塩胡椒の量を間違えてからかったり異様に味が薄かったりなど。

あくまでもらうのは弁当のため分からないが、多分麻婆豆腐を作ればキレイな赤にしようとイチゴジャムを投入していただろう。

しかし、あくまでこれは昔の話。今はもっと料理の腕が上がっている。

食べたときに出る表情が、青褪めた苦しい顔からごく普通の笑顔に変わったくらいには。

弁当箱の色に気を遣って、それだけ余裕が出てきたと証明できるくらいにはなったのだ。

「美味しい」

思わず飛び出た俺の言葉に、Aさんは得意げに笑ってみせた。