02.変に期待しない方が身のためであることは重々承知している。 ページ2
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「大野くん、好きな人っているの？」
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核心を突かれるような質問が来て、階段をあがる足が少し止まったのを、キミは知ってるかな。
質問の主が好きなんだなんて、口が裂けても言えない。
そんなキミは一足先に階段を昇って、呑気にスキップしている。
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智「……いないけど」
「そっか……」
智「なんで、……佐々木は」
「私も、……いない」
智「ふーん」
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俺も階段を昇りきって、佐々木に追いつく。
……どうせ、片思いですよーだ。
最後には想いを伝えようと思ったけど、もう無理かな。
溢れそうになる涙をグッと堪える。
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ーーー…『どうせ……』
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あの人は、振り返らないもんね。
興味ないだろうし。
恋愛の目でなんて見てくれてないだろうね。
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でも、なんでキミはそんな悲しい顔をするの？
なんで、……なんで？
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期待なんてしちゃダメだ。
したらしたで、後から恥ずかしい思いをするから。
……ダメなものはダメ。
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だけど、気持ちを止めることなんてできないから。
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智「俺は恋なんてしないんだ……」
「……っえ」
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儚い顔を作って、わざと小さい声で囁くように言えば。
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「……じゃ、じゃあ」
智「好きな人なんて、ここ数年いないよ。」
「……っ！」
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期待してもいい？しちゃダメ？
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キミの気持ちを知るだけで、正直それだけでいい。
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俺は、もう…。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年3月24日 20時
