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11、笑って ページ47




泣き声がした。


耳をつんざくような絶叫でもなく、心を揺さぶるような咽び泣きでもない、ただ押し殺した細い声と時折漏れる嗚咽に
ものすごく、胸が痛くなって。



「やっと見つけた」


赤い目がこちらを見あげた。
ぷっくりと腫れ上がったそれは重たげに視線を動かして私を見つめる。

その頭を描き抱く。
繊細な硝子に触れる時のように恐る恐る、
しかしやっと手が届いたそれを離さぬよう、強く。




「……たちばな」
「もう離さない」



枯れた喉から絞り出された声はあまりに弱々しくて。
私はきゅっと目を瞑る。


腕の中にある彼の存在を確かめるように。
その感覚だけを強く求めて。




「もうあなたを一人にさせないから。
ずっと傍にいる」

「……夢みてえ」

「夢じゃないよ。
ほら」




額と額を合わせて、その目の奥まで覗き込む。

きらきらと眩いばかりに輝く目は疲れきっていて、あまりに寂しげで。



「私はここにいる。
だから、あなたもここにいて、

すなはら」


「………もう、


俺はずっと、一人なんだと思った」

「………違うよ。

ごめんね、一人にさせて。
もう絶対に離れないから」

「うん」



小さく頷いたその頭は震えている。

その様があまり痛々しくて、私はまた目を瞑る。




ごめんねすなはら。


今まで頼ってばかりでごめん。甘えてばかりでごめん。
突き放してごめん。あなたを孤独から救ってやれなくてごめん。

あなたは強いから、私はいつもそれに縋ってばかりで。

あなたの胸に抱えた痛みに気づいてやれなくてごめん。


これからは、私があなたを支えるから。
ずっと一緒にいよう、すなはら。

大好きだよ。




「笑って、すなはら」


あなたの笑顔がなにより愛しい。



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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年11月21日 15時

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