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10、似たものどうし ページ45





「黒木ってさあ、○○に似てね?」



全員の視線が集まる。
若武の唐突な言葉に首を傾げた。



「そう……かな?似てるか?」


「うん、似てるって。

やっぱほら、雰囲気とかさ」




抽象的すぎる言葉に少し笑った。

雰囲気、か。自覚はなかったが、傍から見るとそうなのだろうか。





「ね、○○って誰?」



アーヤが首を傾げた。

その横に座っていた美門が素早くスマホを操作し、ググって画面を見せる。




「この人。最近よくテレビに出てる俳優」




全員でその画面をのぞき込む。

雑誌の撮影かなにかか、少しはだけた衣装に艶のある表情でこちらを見据える、漆黒の瞳と視線がぶつかった。



…………

似てるかな………。




「ちょっと分かるかも。ミステリアスな感じが二人ともするよね」



小塚がそう言えば、忍も頷いた。




「俺はそのなんとかってやつはあんまり知らないけど、その画像で見る限りはけっこう似てるな」




…知らないのかよ。

まあ、俺もあんまり知らないんだけど。



もう一度、その画面に映る男の姿を見る。


妖艶な瞳に誘うようなポーズをとっているその男は、以前あるドラマで大ブレークし、それ以来映画にバラエティに引っ張りだこな俳優だ。

確か演技力もあって、その甘いマスクとどことなく漂うミステリアスな感じを売りにしている。



………



食い入るように見つめていると、美門の突き刺すような声が飛んだ。



「やけに、見入るね。

なにか気になることでも?」





………


「いや、」


フイ、と顔を逸らした。

この鋭い男は、時折全てを見透かされそうな目でこちらを見る。






言えるわけがない。


顔も知らぬ親の面影を探していた、なんて。





俺の人生には、一生、正体の知れぬ両親の影が付きまとう。
いつか上杉にそう漏らした、その言葉は真実で。



雑踏の中でも行き交う人々の顔を探っては、無意識のうちに探している。


名も知らず、顔も知らず、住む場所も年齢も知らず。

その者とあるのは純粋に遺伝子という枠のみの存在だけなのに。



会ってなにをしたいかというわけでもなく

言うなれば、

そう…



自分は本当に人の子だったのだと

ただその確証が欲しいだけ。





会ったところで、分かるわけもなく

気づく筈もないのに。





不毛な行為は繰り返すうちに癖となって、もはや無意識。



*→←あとがき



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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年11月21日 15時

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