9、君の好きなとこ ページ39
「ねえ、聞いてる？」
「聞いてるよ」
ぱらりと本を捲りながらそう言うと
「いーや聞いてない」
と、取り上げられた。
「今いいとこなのに」
「あのねえ…」
こめかみをぴくぴくさせるその姿に、プッと吹き出した。
「嘘だよ。どうしたの？」
「やっぱり聞いてないじゃない！だ、か、ら」
そう言って腰に手を当てた彩。
可愛らしいうさぎのエプロンがひらりと揺れる。
「最近マンネリ気味ではありませんか？貴和くん！」
そう言って愛しい妻は、唇をあひるの様に尖らした。
・
「マンネリ？」
首を傾げてそう問うと、コクコクと頷く。
「昼間のテレビで見たの。夫婦間にはある程度の刺激が必要で、それがない夫婦はマンネリだって。そんな家庭に疲れた夫が、いつ不倫に走ってもおかしくないんだってーーー！！」
「不倫って……」
大袈裟な単語に苦笑を洩らす。そんな貴和を見て、彩はギュッと眉を顰めた。
「してないよね？」
「そんなわけないだろ」
大いに心外だ。目の前にあった細い腰を引き寄せ、自分の太腿の上に乗せる。その勢いで横腹をくすぐると、弱い彩はケラケラ笑いながら体をよじった。
「きゃっ！ご、ごめんなさいっ！あははっ、うそ、うそです、ぜんぜん疑ってませんっ！」
ひとしきりくすぐった後 手を離すと、彩は息を荒らげながら貴和のワイシャツを掴んだ。
「っ、ふ、不倫とか、は冗談だけどさ、やっぱり、最近マンネリかなあっ、て」
「そう？」
その体を抱きしめながら思いを巡らす。別に結婚生活を初めてある程度経ったからといって、カップルだったころのあの甘々な雰囲気は崩していないつもりだ。
キスだって頻繁にするし、愛の言葉も色んなタイミングで口に出している。
そもそも、少し前まで いってきますのキスだけで真っ赤になっていた君が何を、という話なんだけど。
「それなんだよね。別に黒木君が悪いとか素っ気なくなったとかじゃないんだけれども」
自分も黒木性なのだということを彼女はまだ時々忘れる。「貴和」と訂正を入れると、バツが悪そうに首を竦めた。
ちなみにこの間、彩は貴和の膝の上である。この夫婦のどこがマンネリだと。
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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (
レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね！いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…？ (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
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