*「観覧車」 ページ36
「たっ、高くないかな……?」
「大丈夫だよ、落ちたりしないから」
少しずつ上昇していくゴンドラ。
まだ最高部の3分の1にも満たない地点で怯えているのは、隣に座る愛しい少女。
僅かにゴンドラが揺れる度に小さな悲鳴を漏らし、無意識にだろうが自分の袖を掴んでいる姿には悶えざるをえない。かわいい。
(これは……あいつらに感謝しないと)
密かにガッツポーズをしながら、地上で待ちぼうけているであろう親友たちに心の中で合掌した。
今日は自分の誕生日ということで、いつものメンツで遊園地に繰り出してきたのだが、最後にこんなサプライが待ち受けているとは思わなかった。
送り出してくれた時の若武の般若のような表情が思い出され、笑いを耐える。
「黒木くん」
「ん?どうしたの?」
彩の方に向き直った。今日は事件の捜査ではないため、当然だが目に毒なほど可愛らしい格好をしている。
「本当に私だけでよかったの?みんなと乗った方が良かったんじゃ…」
「ああ、そんなことか」
「そんなことって」
唇を突き出す表情ほ、計算か無意識か。どちらにしても効果は絶大なわけで。
そんなことは他のやつらにはして欲しくないな、なんて小さな独占欲を覚えてしまう。
「あいつらがせっかく気を利かしてくれたんだから、アーヤは気にしなくていいんだよ」
「気をきかすって、私と2人で観覧車に乗ることが?」
首を傾げる彩に微笑みかける。
「そう、俺にとっては、今までで1番のプレゼンだけど」
「…そんな、大袈裟だよ」
僅かに頬を赤くした少女は、照れたように笑う。
(大袈裟でもなんでもないんだけど…)
そう思うが、それ以上の弁解はしない。まだこの大きすぎる思いを告げるには、時期尚早過ぎるから。
だから、今は。
「ほら、アーヤ、もうすぐ頂上だよ」
「わっ、すごく高いっ」
興奮しているのか怖がっているのか。どっちつかずの声色ではしゃぐ無邪気な姿に、自然と口角が上がった。
君と過ごせる時間を、大切にしたい。
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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
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