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6、七夕 ページ27






 今日の夕飯はどうしようか。
 せっかくの七夕だし、ちらし寿司にでもしようかな。

 そんなことを考えながら、リビングの明かりをつける。


 すると、ベランダの方の窓で、何か暗い影が揺らめいた。

 ……?



「彩?」

「あ、お兄ちゃん」




 覗いてみると、ベランダに立っていたのは、可愛い妹。




「何してんだよ。雨が降ってるだろ?」


 よく見ると、その小さな体はすでに小雨に濡れている。
 ったく……。

 リビングに戻って、椅子に掛けてあったタオルを手に取りベランダに戻る。

 タオルを頭から被せてわしゃわしゃと撫でると、その下から彩がにっこり笑った。


「ありがと。お兄ちゃん」



 ………まったく。お前は。
 そんな笑顔を向けられると、怒るに怒れない。

 胸の内から暖かい感情が湧き出てくるのを感じる。俺もたいがいのシスコンだよ。







「で、何してたの?」



 わざと素っ気なく尋ねると、彩はそれはそれは深いため息をついた。



「あのね、今日って七夕でしょ?」
「ああ、うん」
「七夕の日って、大体毎年雨が降るじゃない?」
「まあ、全国各地そうとは限らないけどね」



 そういうと彩は、少しだけ頬を膨らました。



「………今日は、晴れるって予報だったから楽しみにしていたの……」



 ………なんという可愛さ。

 睨む様に恨めし気に雨空を仰ぐ彩は、贔屓目に見てものすごく可愛い。
 俺は思わずくすっと笑いながら、その低くて小さい頭を今度は優しく撫でた。



「それは残念だったね。彩は天の川が見たかったの?」



 そう尋ねると、ううん、と首を横に振る。


「それもあるんだけれど……」




 そう言ったっきり、押し黙ってしまう。
 俺は黙って続きを待った。



*→←まえがき



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イズミ - 黒木君が泣くという発想がわたしにはおもいうかばなっかたので、すごいとおもいます。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page12 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
イズミ - アーヤが7人で見たらぎゅうぎゅうだよ。って言った後、「アーヤ最強。」と言われているのも面白かったけど、どいう意味かアーヤが分かっていないのが面白かったです。 (2023年3月13日 18時) (レス) @page6 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - わ、待ってます! (2019年1月6日 0時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)
花畑(プロフ) - ずずさん» 了解です(笑)次の「誰も知らない物語3」で書かせていただきますね!いつになるかは分からないですが…その時はよろしくお願いします。 (2019年1月5日 21時) (レス) id: e150cc9add (このIDを非表示/違反報告)
ずず(プロフ) - 大丈夫です、嬉しいです!あ、いや、受け取らなくてもいいですよ…? (2019年1月5日 20時) (レス) id: 054a7adbe3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:花畑 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年11月21日 15時

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