Colors 【短編集】

お誕生日:sou ページ21

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　彼氏の家に連絡もなしに、去年貰った合鍵を使って忍び込んだ。仕事でいないのは確認済みで、誰もいない静かな部屋に買ってきた荷物をどさどさと置いていく。

　「よし、」

　腕まくりをして、買ってきた材料をキッチンに並べていく。美味しくできるか、少し心配だけど、そのぶん愛情をたくさん入れようなんてちょっと傲慢かな？



　何とか料理を完成させて、小さめのケーキも作り終えて冷蔵庫。後は彼氏のそうくんが帰ってくるのを待つだけ。用意したクラッカーをいつでも鳴らせるように、とポケットに入れた。


　深夜０時ぴったりにラインは送ったけど、やっぱりちゃんと顔を見てお祝いしたい。…Eveさんとご飯行く用事とか入ってたらどうしよう、なんて今更ながら心配になってきた。今日行くって連絡してないし。

　まだかな、なんて部屋を意味もなくうろうろとしていたらシリンダーが回って鍵の開く音が聞こえた。


　「えっ！？」

　そうくんの声が聞こえて、ばたばたと少し急いだ足音と共にリビングのドアが開いた。

　「そうくん、誕生日おめでとう！」

　クラッカーをそうくんに向けて鳴らすとぽかんとした顔。その顔、初めて見たかもしれない。

　「Aに今日会えると思ってなかった。めっちゃ嬉しい。」

　ぎゅうぅぅと抱きしめられて、そうくんの匂いに包まれる。私も予想してないことが起こってプチパニック。


　「晩ご飯、作ったの。ケーキもあるよ。あと、お酒もね。」

　「ありがとう…。」


　５月生まれだからお酒も買ってきた。幼い顔してるから身分証明書の提示を毎回求められるんだけどね。

　「食べる。」

　「そうくん、誕生日おめでとう。」


　「ありがと。」






　大切な大切なあなたが生まれた記念日。

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