Colors 【短編集】

タオル：天月 ページ12

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　ポツポツ、降り出したかと思えば次の瞬間、大雨に変わった。

　「嘘でしょ…。」

　カバンを頭の上に持ち上げて、近くのコンビニまで走る。何もしないよりは多分まし。教科書濡れるかもしれないし、それはそれでヤバいけど。


　軒下に入って雨宿りはしたものの、靴の中は雨で濡れて気持ち悪い。カバンを傘代わりにしたおかげか制服はそれほど濡れていなくて少しほっとした。

　「…あ。」

　「…天月くん。」

　ぽつりと聞こえた声に反応すると私よりもずぶ濡れの天月くん。私と同じように雨宿りをしにきたみたい。

　同じクラスで何度か話したことがあるだけだけど、天月くんの人気はよく知ってる。

　「凄く濡れてる、これ良かったら使って。持ってきたけど使ってないし。」

　カバンの中から取り出したタオルは幸いにもほとんど濡れていなかった。教科書も濡れて無さそうで安心。体育があるからとフェイスタオルにしたものの自習になったから使ってない。

　「え、いや、Aさんが使って！！濡れてるし！女の子が風邪ひいちゃダメだよ！」

　いやいや、と首を横に振るものだから天月くんの頭から雫が飛ぶ。なんだか少し動物みたいにみえたって言ったら失礼かな…？

　「私より天月くん濡れてるから。」

　こうなったら、と有無を言わせないためにタオルを天月くんの頭にかぶせた。出来るならついでに頭も軽く拭きたいところだけど、身長的にそれは厳しいから諦める。


　「…ありがと。今度、洗って返すね！」

　タオルで隠れた天月くんの顔色を私が知るよしなんて無かった。





　二人きりの軒下で。


　

問題:うらたぬき→←お酒：センラ

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