【呪術廻戦】メンヘラ短編集

【両面宿儺】 ページ11

『虎杖くん！』

なぁ、A
なぜ小僧の名を呼ぶ

お前と俺は前世からの仲だろう？
他の男の名を呼ぶ度に不快感が増してゆく
お前でなかったら消していた

なぁA、忘れていないだろう？
お前が死んだあの日俺は後悔した

もっと早くに気がつくべきだったと
お前を手に入れるべきだったと

今度こそ手に入れる
覚えていないなら思い出させるまでだ

思い出せ、あの日お前は俺に慕っていると言った
常に後ろを引っ付いて歩くお前を俺は嫌いではなかったのだ


春の桜を見たことがないというお前に花を手折って持っていった時泣きそうになるくらい喜んでいた

夏の夜に蛍を見て、捕まえようと走り回り転びそうになっていたな

秋の稲穂のを眺めていたら稲妻が落ちてきて泣いていたな、それくらいで泣くなとあしらっていた

冬の寒さが身を突き刺すような朝、俺より早く起きて俺を待っていただろう


全てが過去で
全てが本当だ

『宿儺様！』

あの頃私を求め縋ってきたAはもう居ない？

居ないわけが無い

思い出していないだけだ

なら思い出させよう

大丈夫だ、痛くも怖くもない

数百年振りの再開だ

待っていろA


＿＿＿その日、呪術高専に通う1人の女生徒の意識が奪われた＿＿＿


｢ここは俺の生得領域だ、久しいなA｣

｢怯えるな、そんな顔をさせたいわけじゃない｣

｢俺はお前を気に入っている、このように閉じ込めるほどにな｣

｢拒絶してくれるな、前世からの仲だろう？｣

｢知らないはずはない、思い出せないだけだ｣

だから、拒まないでくれ

｢思い出させてやろう｣

俺をまた置いていかないでくれ






Fin【両面宿儺】リクエストありがとうございました

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