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不安そうに揺れていた瞳が大きく見開かれて、ポロリと涙が溢れる。
「思ってること、教えてほしいな。どんなことでもいいんだよ」
「でも、」
「大丈夫。しめちゃん先生は如恵留くんの味方だよ」
「あの、ね」
ゆっくり口を開いた如恵留くんは、夢を見るのが怖くて眠れない、と教えてくれた。ひとりでいるのも怖いし、寝ている間に死んじゃったらどうしようって思うし、みんながいなくなってしまうという不安に襲われるみたい。薬を使って眠らせようかと思ったけど、理由を聞いてみたら、今は薬に頼らないで、その心にある不安をちゃんと解消してあげることのほうがいいと思った。
「そっかそっか。教えてくれてありがとうね。あのさ、今日の夜はしめちゃん先生が寝るまで一緒にいてあげるよ。そしたら、怖くても助けてあげられるから」
「でも、、」
「大丈夫。何も心配しなくていいよ」
ちょうどやってきたおやつのヨーグルトドリンクを飲ませて、俺は一旦医局に戻った。
「お疲れ様でーす」
看護師たちが日勤と夜勤が入れ替わって、仲間の医師たちも帰りの支度を始める。俺は今日は当直じゃないけど、残ると決めていた。
「しめ、帰んないの?」
「うん。如恵留くんにつくよ。そろそろ寝かせないとだし、原因が知りたくて」
「わかったー。なんかあったら呼んでー」
「ありがとねー」
如恵留くんが気にしすぎないように読みかけの論文も持って、病室の引き戸をノックする。
「如恵留くん、入るね」
案の定ベッドに横になって、ぼんやりと目を開けていた。
「如恵留くん」
「あれ、しめちゃんせんせ」
「眠れない?」
「あ、、うん、、そう、」
「何か、心配なことがあるのかな」
そう聞くと暫くしてから頷いて、ぽろりと涙が溢れる。
「先生に、言えそうかな」
「夢、みるのが、こわい、、」
「そうだよね。教えてくれたもんね。だからね、今日はしめちゃん先生ここにいようかなって」
「え、、」
「病院だからね、もし何かあっても、絶対に誰かが如恵留くんのこと助けられるんだけど、もし、しめちゃん先生がここにいた方が如恵留くんが安心できるなら、そうしたいなって。どう?」
そう聞くと、恥ずかしそうに頷く。微妙なお年頃だよね。
「眠れるように、少し暗くしようね。何かあったら、すぐに助けるからね」
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イカ(プロフ) - ユルピさん» 遅くなってしまい、申し訳ありませんでした💦 (2023年4月6日 12時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
ユルピ - イカさん» お話見ました!とても如恵留くんが頑張っている様子が伝わり感動しました!また、リクエストしますね〜 (2023年4月6日 8時) (レス) @page44 id: 05904f8bd6 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠(プロフ) - こんにちは!ざっくりとしたリクエストだったのにも関わらず、とても素敵なお話にして下さり、ありがとうございました♡何度も読み返し楽しませて頂きます!これからもイカ様の作品を楽しみにしています(*^^*) (2022年12月12日 10時) (レス) id: 1f31f14422 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - 睡眠さん» お待たせして申し訳ありません。「ずっと、一緒に」にお話を更新させて頂きました。お読みいただけると嬉しいです。 (2022年12月12日 8時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
イカ(プロフ) - 睡眠さん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。ずっと、一緒にへのリクエストありがとうございます。少しお時間をいただくかもしれませんが、お待ちいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。 (2022年12月4日 22時) (レス) id: bba6564774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イカ | 作成日時:2022年10月8日 23時