3 波乱を呼ぶヒロイン役への指名3 ページ3
「ね、ねえ快斗くん。一体何考えてるの……??」
「ん?」
顔を引きつらせて問いかける私に悪戯っ子の笑みのまま首を傾げる彼。
「ん?じゃない!先に言っておくけど、この前みたいなのは駄目だからね!?私と春田さんはなんでもないんだし、キッド姿で出てくるのはなしだよ!?」
「───残念だがそーもいかねーんだよな?」
言い募る私に口の端を上げる快斗くん。そうもいかないとはどういう事だと更に口を開こうとすると、彼は台本のあるページを開いた。開かれたページに思わず目を通す。
「……「愛の証に、これを貴女に」(ヴィオレットライトの首飾りをヴィオレットに着ける)……?」
台本に書かれている通りに読み上げると、快斗くんは頷いた。
「このミュージカル……どうやら俺が狙っているビッグジュエルの一つを本当に使って行われる謂わば宝石とのコラボ作品だ。つまり、どういう事かわかるだろ?」
「………ま、まさか!予告状出すつもり……!?」
「そーいうことー!いやー残念だなー?俺も大人しくしておこうかと思ってたけどなー?こういう事情なら仕方ねーよなー?」
「大人しくしておこうなんて微塵も思ってなかったでしょ……!?!?」
もう明らかに引っ掻き回す気満々だったらしい快斗くんに思わず突っ込みを入れてしまう。
「そんな事ねーって、Aは疑り深いなー?ほら、折角の茶が冷めちまうぜ??」
しかしそんな突っ込みももちろん勿論なんのその。快斗くんはただただ悪戯っ子の笑みを浮かべ楽しそうにしているだけだった。私は盛大にため息をついてお茶を一口飲む。
「本当にもう……!」
思わず怒りながら呟いていると、ふっと快斗くんがティーカップを持ちながら不敵な笑みを見せた。
「……そう怒らないで下さい我が姫。私が宝石を狙うには大きな理由がある……これだけは、目当てのものを見つけるまでは止めることはできないのですよ。───どうしても、見つけなければならないものがありますから」
突然のキッド口調、そして最後の方は少し暗めの雰囲気を持った声音と真剣な表情で目を細めて見せた快斗くんに思わず驚いて目を見張っていた私をよそに、次の瞬間には彼は元の悪戯っ子の表情に戻った。
「まあでも?これで稽古の際も貴女の側にいる口実が出来ましたし……願ったり叶ったりですね?」
「……キッド口調やめて」
一瞬見せたあの表情は一体何だったのか。なんだか騙されたような気分になって私は思わず膨れながらぼそりと呟いたのだった。
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橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2022年2月8日 19時) (レス) @page5 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
闇病み(プロフ) - 1コメ頂きました!白馬くんっぽいのが小説説明欄に出ていたのがとってもとっても楽しみです!頑張って下さい!! (2019年6月29日 17時) (レス) id: edc146277d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2019年6月27日 22時