1 波乱を呼ぶヒロイン役への指名1 ページ1
「で、正式に受けたんだよな？それ」
いつもの時間、いつもの自宅マンションの屋上のテラス席。今日も一仕事終えた彼──怪盗キッドな黒羽快斗くんは椅子に座るなり、なんとも言えない表情でテーブルに置いてあった台本を見た。私はお疲れ様の意味も込めて用意していたお茶を快斗くんの前にそっと置く。
「うん……監督さんも前のミュージカルと同じでね。春田さんの指名もあるから是非ってお願いされちゃって。でも大丈夫！心配はいらないからね？」
「………おう」
とりあえずは了承の返事をするものの、やはり面白くないらしく少々拗ねたような表情になる快斗くんに、私は困ったように笑ったのだった。
【またもや波乱のミュージカル】
数日前に届いたこの台本は、新しいミュージカルのものだ。話は前回のミュージカルで相手役としてご一緒した春田洸大さんが、今回も是非相手役として一緒に演じてほしい、と新作ミュージカルの台本を送ってきた所から始まる。
タイトルは「我が愛しのヴィオレット」。
タイトルからもわかるように、見事なまでに恋愛もので──春田さんが好きではないらしい彼は前回のミュージカルの際もそうだったが、私が春田さんの相手役になる事を良しとしていない。更に今回は彼からのヒロイン指名なので、とにかく心配なようでこの表情である。
「ほらほら、せっかく淹れたお茶が冷めちゃう。これね、すっごく綺麗なお茶なんだよ見て？」
私は快斗くんの横へ立つとお茶を覗き込む。そこで漸くお茶が普通のものではない事に気付いたのか快斗くんもお茶へ視線を向けてくれた。
「？青いお茶──？？」
「そうなの！それで……そろそろ」
二人で揃ってお茶を覗き込む。濃い青色をしていたお茶は、徐々に紫色へと変化していく。それに快斗くんが目を丸くした。
「色が変わった……」
「ふふふ、ここからだよ月下の奇術師さん。これをこうすると───It's show time！」
私は得意げに笑うと、彼の台詞を言ってレモンスライスをお茶の中へ落とす。すると、お茶の色はあっという間にピンク色へと変化した。
「──！うわ、すげーな！」
先程の不機嫌も吹き飛んだのか快斗くんが目を丸くしたのに私もにこにこと笑みを返す。
「でしょう！？まるでキッドの──快斗くんのマジックみたいで。しかも色味もなんとなく快斗くんのイメージだし……快斗くんと飲みたくて即買っちゃった」
そう告げると快斗くんは目を丸くしたままこちらを見て──すぐに私を引き寄せ抱き締めた。
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橋本アリィちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します！とても面白かったです！もし続編があるのなら、続きを楽しみに待っています！(*´ω｀*) (2022年2月8日 19時) (
レス) @page5 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
闇病み(プロフ) - 1コメ頂きました！白馬くんっぽいのが小説説明欄に出ていたのがとってもとっても楽しみです！頑張って下さい!! (2019年6月29日 17時) (レス) id: edc146277d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2019年6月27日 22時
