拾われた五匹の青年 (ページ17)

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予防接種2 ページ17

次に、智を捕まえてきたAが入ってきた。
Aがずっとさすってあげているおかげか、潤の時よりも落ち着きがある。

手を出させようと掴んだ腕を、離せさせようと引っこめていたけど…
大丈夫だよー、じっとしててねー
と身体を抑制のため抱えられて、腕を出させられた。
A「よしよし、すぐだって。」

引っ張る力は緩めていないが、声を出さずに震えながら耐えている智。

太「我慢ね、いくよー。」
智の腕にプスッと針が刺さる。

一瞬にして智の体が強張るのがわかった。
ビクゥッと体が揺れた。
太「よーし、がんばったー。おわりね。」

A「頑張ったね、智。よしよし。」

無表情の智だが、笑顔で褒めて体を揺する。

続いて雅紀。
部屋に放したら落ち着かず、追いかける研究員から逃げている。
雅紀が逃げ出そうとするところを研究員たちが囲って逃げ場所をなくしてしまって。
素早く捕まえられた雅紀を抑えこんだ。

太一「みんな抑えててー。はい、いくよー。」
いちにーさんっ！と数えるうちに刺してしまった。
離した瞬間、逃げようとする雅紀だが後ろから抱きしめて、
研「まーだだろー。はい、ここ押さえようね」
注射の跡を押さえられて…。そこを見つめてボーッとしている雅紀
その後もその研究員に相手をしてもらった。

部屋に入る前から不安を感じたのか泣き出した和。頭が良いみたいだ。
和は足をバタつかせながら抱かれて来て、ベッドに寝かせられた。
A「いいこいいこ、ね。」

そのまま手足を抑えてもらい、素早く消毒が済まされた。
針が見えないよう反対側を向かせると、針を刺した。
瞬間、痛みに顔を歪ませたが、すぐに終わらせた。

翔「ぅぅぅう…。がるるる…。」
捕まえる時点で喉の奥で低く唸っていた翔は見事な抵抗をして見せたが、さすがに何人もの大人の力には敵わず…。
太一「危ないから固定しちゃおうか。翔～、ごめんね。ちょっと我慢な。」

翔は体つきがよく、研究員に怪我をさせるかもしれない。
翔をベッドに固定した。
松「よーしよし、大丈夫だ。な、翔。いい子。」

松岡に撫でられ落ち着いた翔だったが、針を見て呼吸を荒くし始めた。
「よしよし」
松岡は翔をさすり続け、
翔は声を漏らしながらも耐えてくれた。
固定を外した瞬間、松岡が抱き上げてやる。
「えらかったなー翔。」
ときちんと褒める。

こうして大変だった予防接種をこなした五人。
周りもやっと一安心だった。