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158.しょっぱい理由 ページ8

 Aの生家を後にした俺は、

 重い足取りで自分の家へと向かっていた。


 隣を見れば花咲くように笑う君が、もう、いない。


 "長い旅に出た"そう思うことにしよう。

 そう思わないと、俺の心は押しつぶされそうだ。


 

 炎柱邸に戻ると、縁側に腰をかけて

 庭をぼうっと眺めていた。

 あたりは西日で橙色に染まっている。



「杏寿郎…」


「要か。明日からはしっかりと任務もこなすから、

 今日だけは、情けない俺を許してくれ…」


 要は俺の肩に乗ると、頬に擦り寄った。


「情ケナクナイ。」


「優しいな。ありがとう。

 そうだ!朝から何も食べていなかった!夕餉を作ろう。」



 夕餉を作ろうと台所へ向かうと、
 
 大きな紙袋が置いてあることに気がついた。

 紙袋を開けてみると、

 中にはさつまいもがたくさん入っていた。


 紙袋に貼られたメモ書き見ると、

 そこには"杏寿郎のさつまいも"と綺麗な字で書かれていた。


 A、俺がたくさん食べるからだろう?

 俺の好物だからとこんなに蓄えてくれていたのか。


 可愛いやつだな…ありがとう。

 今夜はさつまいもの煮物にしよう。

 
 料理はそれほど得意ではないが、

 君の手伝いで何度か二人並んで料理を作ったから、

 それなりのものは作れるようになったのだ。



「いただきます…あっ!」


 やってしまった。

 つい、Aの分のご飯を茶碗に盛ってしまった。

 向かいの席には誰もいない。

 
「大丈夫だ!俺が食べよう!!」


 A、どうせいつもの席で笑って見ているのだろう?

 俺は大食いだからな!君の分まで…


 さつまいもの煮物を口にすると、

 なぜかしょっぱかった。


「砂糖と間違えて塩を入れてしまったのかもしれないな!」


 なぜしょっぱいのか…分かっているさ。

 君もきっと気づいているのだろう?

 だが、あえてそれは言わないでおいて欲しい。




 夕餉を終えて、湯浴みをすると、俺は早めに褥についた。



 今宵はもう寝てしまおう。

 寝てしまえば悲しい思いも全て忘れるはず…



 次第に瞼が重くなってきて、俺は眠りについた。








「杏寿郎」


 名前を呼ばれた気がした。

 俺の大好きなあの声がした。


 おもむろに瞼を開けると、

 ぼんやりとAの姿が浮かんだ。


「ん…?A?」

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 完結おめでとうございます。途中思わぬ展開に驚きましたが、最後は悲しさもあるけれど、なんだか暖かな気持ちになりました。あとがきの狐姫様の言葉に色々と考えるきっかけになりました。次の作品も楽しみにしています。素敵な作品をありがとうございました♡ (7月8日 21時) (レス) @page50 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん!感動したと言っていただき、大変光栄です♡完結まで書けたのも、エリスさんをはじめ、応援してくださる読者様のお陰です!感謝申し上げます!番外編、新作等でもまたお会いできると嬉しいです(*˙˘˙*) (7月8日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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