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140.許しを ページ40

 


 緊張した面持ちで隣の杏寿郎を見ると、

 彼はふわりと優しく微笑んだ。




 凛とした姿がただ、ただ、美しい。



「お父様、お母様、
 
 僕は昨年の冬頃より、Aさんと真剣に

 お付き合いをさせていただいております。


 Aさんとは鬼殺隊の同期でありまして、

 彼女のまっすぐな性格、他者を思いやる心、

 優しく、清らかなその人柄に惹かれていきました。

 心から彼女を愛しています。」



 私は、彼の言葉に熱くなっていく瞳で

 黙って彼の顔を見つめていた。



「先日、Aさんから結婚の承諾をもらいました。

 ご家族が大切に育ててこられた娘さんを

 必ず幸せにします。



 Aさんとの結婚をお許しいただけますでしょうか。」




 こんな日が来るなんて、

 彼と出会ったばかりの頃は思いもしなかった。


 暗闇で息をしていた私に光をくれた人。

 涙を拾い集めながら寄り添って話を聞いてくれた人。

 過去を知りながらも静かに愛をくれた人。



 私の人生において、なくてはならない人。



 少し間をおいて、父は口を開いた。




「煉獄くん、君は私たち夫婦の娘が選んだお方だ。

 私は君を信じるよ。


 娘をよろしくお願いします。」



「お父さん…お母さん…」



「A、おめでとう。本当におめでとう…」



 母は目を細めて笑った。

 その頬には一筋の雫が伝っていき、

 彼女は慌ててその雫を指で拭った。


 杏寿郎が深く頭を下げたので、私も合わせて頭を下げる。


 彼は頭を上げると、

「ありがとうございます。どんなことがあろうとも、

 二人で支え合い、生きていきます。」

 と、確かな眼差しで誓った。




「さあ、それではお祝いの食事にしようか!

 なあ、母さん!ほら、お前たちも出ておいで!」


 父が手招きをすると、襖の奥から姉弟が出てきて、

 二人して私に抱きついた。


「A、おめでとう!」

「姉ちゃん!幸せになってね!」



 嬉しいなあ…

 自分のことのように喜んでくれる家族がいる。

 私は本当に幸せ者だ。




「近いうちに孫の顔も見れるかもしれないな!

 楽しみができて嬉しいよ。」


 と、父が急に言うものだから、


「お任せください!!!」

 
 なんて、杏寿郎が張り切って返していて


 私は一人動揺して顔を赤らめていた。

141.母からの贈り物→←139.挨拶



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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