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139.挨拶 ページ39

「わあ!とっても素敵…」


 秋深まる晴天の空の下、

 紅に染まる紅葉よりも目を引くのは、

 上品な着物に身を包んだ杏寿郎の姿。


 私が玄関先で見惚れていると、

 杏寿郎は私の垂れた髪を耳にかけ優しく微笑んだ。


「君はとても綺麗だ!

 その着物も、簪も、紅もよく似合っている!」


「杏寿郎にそう言ってもらえると嬉しい。」


 彼が静かに手を差し出したので、私はその手を握った。


「行こうか。」


「うん。杏寿郎…少し緊張している?」


 何だかいつもより一層目が開いている気がする。


「ははは!少しどころではない!

 …かなりだ!!」




 彼が緊張するのも無理はない。




 私たちはこれから、

 人生の一大行事の一つである結婚挨拶をすべく、

 私の生家へと向かうのだからだ。




「杏寿郎が緊張していると、私まで緊張してきてしまう…」


「そうか!それはすまない!

 しかし…その…君の御両親が認めてくださるか、

 少しだけ心配でな。」


 珍しく自信のなさげな様子だったので、

「大丈夫。」

 と、繋いだ手に力を込めた。








 生家に着くと、両親と姉、弟が出迎えてくれた。



「お邪魔します!はじめまして。

 ご挨拶が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。

 鬼殺隊、炎柱の煉獄杏寿郎と申します。

 Aさんとは…」


「ふふふ。杏寿郎さん、ようこそA家へ。

 堅苦しいことは良いから、早く中へ上がってくださいな。」


 母はそう言うと、姉と弟を連れて家の中へ行ってしまった。


「煉獄くん、よく来てくれたね。

 君のことはAからよく聞いているよ。

 今日は君が来ると聞いて、

 妻が張り切って料理を作ったんだ。

 ゆっくりしていって。」


 父は嬉しそうに微笑んで、

 杏寿郎の肩にぽんぽんっと手を置いた。

 
 

 杏寿郎が少し拍子抜けしたような顔をしていたので、

 私は彼に微笑みかけて、その手を引いた。



 廊下を歩いていると、不意に後ろから袖を引かれ、

 振り返ると弟の姿があった。


 弟が私に「お姉ちゃんの恋人、すっごく男前だね!」と、

 耳打ちをしてきたので私は思わず頬を赤らめた。







 居間に通されると、

 私は両親に「話したいことがある」と伝えた。





 杏寿郎と並んで両親と向き合うと、

 改まった空気感に緊張が走る。


 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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