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134.人のために ページ34

 それは祖母が祖父と

 出かける約束をした日のことだったいう。



 * * *


 逢引の日、祖父は遠くの任務帰りだったため、

 甘味処で落ち合う約束をしていたそうだ。

 しかし、時間になっても一向に来ない祖父を心配した祖母は

 一度家に戻ろうとお店を出たという。


 祖母が来た道を一人歩いていると、

 背後から必死に走ってきた祖父に呼び止められた。


「清江さん!遅くなってしまい、申し訳ない!」


 祖母が振り返ると、そこには何故か身体中泥だらけの

 祖父が立っていたそうだ。


「誠次郎さん、その泥…どうしたのです?」


「ここへ来る途中、
 
 近所の子どもが亡き母からもらった大切な香り袋を

 田に落としたと聞きまして…それを探していたら

 泥まみれになってしまいました。

 せっかくの逢引だというのにこの様な格好…

 それに遅刻と、本当にすみません。」



「ふふふ。良いのです。




 誠次郎さんが旦那様で良かった。」




「はい?すみません、聞き取れなくて…

 清江さん、もう一度言ってくれませんか?」




「内緒です。」






 * * *



「そのまっすぐな瞳を見た時にね、

 ああ、この人は人のためにここまでできるお方なんだと、

 すごく感銘を受けたの。」


 なんだか杏寿郎みたいだなあ。

 人の幸せのためなら自分をも犠牲にしてしまうところ、

 全身全霊を尽くすところ、すごく似ている。



「A、あんたは本当におじいちゃんにそっくりだよ。」


「え?」


 祖母は私の手を握り、目を細めて笑った。


「困った人を放っておけない。

 自分で決めたことを貫く強い精神を持っている。

 だから気高く、誇り高い、熱い心の炎の呼吸なのよね。」


 祖母の話に火が灯ったように胸が熱くなった。

 風に揺すられた紅葉はゆっくりと宙を舞い、

 静かに乾いた地面へ落ちていった。



「そういえば、Aは今、

 炎柱様とお付き合いしているのだったね。」


 任務でなかなか生家へ帰れなかった私は、

 杏寿郎と交際していることを手紙で両親には伝えていた。

 両親は私の幸せを願ってくれていて、

 "いつかお家に連れてきてくれることを

 楽しみにしているよ"と返信が届いた。




 

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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