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126.指令 ページ26

杏寿郎は布団の上に置かれた

 手紙に目を向けると、眉を下げて微笑んだ。



「谷山少女のことだな?」


「あっ…うん。」



 彼女の幸せを望むのなら私が身を引くこと…?

 でも、それは私を大切にしてくれている杏寿郎を

 傷つけることになる。


 それだけは何があってもしたくないことだ。



 花子さんは大切な仲間だし、笑っていてほしいと思う。



 頭の中の天秤は揺れに揺れて、答えは出ない。



 すると、不意に唇に柔らかい感触がした。

 驚きのあまり、目を丸くして彼を見つめると、

 今度は頬をつままれた。



「君が何を考えているのか少しだけ想像できた。

 ひとつだけ俺からお願いがある!」



「お願い…?」




「優しい君のことだ。

 相手のことばかりを考えているのだろう。

 胡蝶も言っていたが、Aは自己犠牲が過ぎる時がある。



 そこでお願いだ。


 まずは自分の幸せを大切にしてほしい。」

 

 病室に差し込む日差しに照らされた彼の髪は

 キラキラと光り輝く。



「君の幸せが俺の幸せ。

 


 それからこれは上官の指令だ。

 Aは俺のそばにいること!良いか?


 指令だから、君が思い悩む必要はない!

 そのことで起きた問題は全て上官である俺の責任に

 なるから君は何も気にするな!


 全て俺のせいにすれば良い!

 困ったことがあったら命を下した俺に相談しなさい。

 
 必ず俺が君を助けるから…



 だから、ただそばにいてくれないか?」



 指令なのにお願いしちゃっている。

 本当は指令だなんて、そうは思っていないくせに…

 私が悩まないようにそう言ってくれたんだ。




「ふふ。上官、分かりました。

 何があってもあなたのそばに。」
 


 彼の優しさに心に火が灯るように温かくなっていく。



 杏寿郎は私の頬に手を添えると、

 今度は真剣な眼差しで話し始めた。



「俺はこれから柱合会議に向かう!

 終わり次第、こちらに戻ってくるから

 一緒に屋敷へ帰ろう。」



「そんな!忙しいのに申し訳ないよ!

 私は一人で帰れるから。」



 無言のまま彼にじっと見つめられ、私は動けなくなった。

 私がこの瞳に弱いことを彼は知っている。



「…分かった。待っています。

 柱合会議、頑張ってね、炎柱!」





「うむ!では、行ってくる!」

127.彼女と甘味処→←125.言葉の重み



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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