123.蝶の戯れ ページ23
爽やかな風が頬を撫でる。
目を開けるとぼんやりと天井が見えて
ここが杏寿郎の屋敷ではないことが分かる。
次第に意識がはっきりしてきて
人の話す声が聞こえてきた。
「煉獄さん、一度屋敷にお戻りになられた方が良いです。
任務の後でお疲れでしょう？」
「胡蝶、心配をかけてすまない！
しかし俺は大丈夫だ！
彼女が目を覚ました時、そばにいてあげたいのだ。」
「ふふ。そうですか。
随分と惚れ込んでいらっしゃるのですね？」
杏寿郎がこちらに歩いてくる足音が聞こえて
私はほんの少し開けていた瞳を閉じた。
彼は私の手を取ると、私の手に額をつけて呟く。
「惚れているとも。」
「まあ。ふふふ。
煉獄さんは羨ましいほどに素直ですね。」
「できる限り人に誠実でありたいと思うが故だろうな。」
彼らしい言葉に思わず握られた手を動かしてしまった。
「A？目が覚めたか？」
「…うん。私、気を失ってしまったみたいだね。
呼吸で上手く止血ができないなんて…情け無い。」
胡蝶様は静かに私に近づくと、
にっこりと微笑んで柔らかな声で告げた。
「Aさん、そんなことありませんよ。
咬みつかれた傷を見させていただきましたが、
かなりの出血量だったと思います。
呼吸だけで止血は難しいです。」
「胡蝶様…
手当てをしてくださり、ありがとうございます。」
彼女の声は不思議だ。
とても綺麗で落ち着く声色をしている。
「いえ。それと…煉獄さんから話を聞きましたが、
Aさんは少し自己犠牲が強すぎる気がします。」
「そんなこと…」
胡蝶様は私のベッドに腰を下ろすと、
杏寿郎に聞こえないように耳打ちをした。
「任務遂行のため、仲間のためも大切なことですが、
もう少し自分を大切にしてくださいね。
あなた自身を大切にすることが、
煉獄さんを大切にすることにも繋がりますから。」
そう囁かれて、杏寿郎に目を移すと、
彼は優しく微笑みながら首を傾げていた。
「どうした！胡蝶！
俺にも教えてはくれないだろうか！」
胡蝶様は立ち上がると、
病室から出て行きながら楽しそうに口を開いた。
「煉獄さんはAさんのことが心配すぎて、
夜の間、ひと時もAさんのそばから離れず
屋敷にお戻りにならなかったのですよ〜っと
教えて差し上げました！」
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます！夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです！ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (
レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます！ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります！ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます！ (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狐姫 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時：2022年4月27日 20時
