120.信じる ページ20
私の言葉で動いた
杏寿郎と相之助くんは建物の陰に隠れた。
「きゃあ…!!
か、身体が動きません…!!」
「花子さん!」
「フンッ。目障りだな。まずはお前からだ。」
まずい…!杏寿郎と相之助くんは少し離れた場所にいる。
私が花子さんを助けなければ…間に合わない!!
空を見上げる。
大丈夫…きっといける。
私は信じる…
「そうはさせない!」
私は建物の陰から出ると花子さんの方へと駆けた。
「Aさん!危険です!!!」
遠くから相之助くんの叫ぶ声が聞こえたが、
その近くにいた杏寿郎もまた日輪刀を構えた。
「炎柱…?」
「のこのこと出て来やがって…」
私が花子さんを抱えた時だった。
「血鬼術…
もうひとつの血鬼術…!
「Aさん…!!」
花子さんを腕に抱えたまま動けなくなった私に
狼鬼は容赦なく食らいついた。
「大丈夫…」
「大丈夫じゃ…ないです…
どうして…?どうして私なんかを助けるの?
あなたに酷いことをしたのに…
嘘の噂を広めたのだって…」
左肩が痛い…
おそらくかなりの力で噛みつかれたのだろう。
肩からは生温い血が伝って地面に垂れていく。
「ふふふ。
花子さん、前に…言ったでしょう?
あなたに優しくしないなんて無理だと…
だから助けないなんて選択肢は…存在しないよ。」
「Aさん…ごめんなさい…ごめんなさい…」
鬼は再びゆっくりと近づいてきて私の背後に回ると、
楽しそうに笑いながら言った。
「さあ、とどめだ。
貴様ら二人ともまとめてあの世に葬ってやろう。」
満月は雲で陰り、辺りは漆黒に染まった。
今だ…
「炎の呼吸 伍ノ型 炎虎!!!」
闇を、憎悪を、焼き払うような熱い炎の刃が
鬼の頸を目掛けて振り落とされた。
杏寿郎…
「くそおおおおお!!!
よくも…よくも…!!!」
「君の身動きを取れなくする血鬼術は
満月の夜にしか、さらにはその月の明かりの下でしか
使えないのだろう。」
雲から顔を出した月は
先程よりもどこか寂しげな色を含んで私たちを照らす。
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時:2022年4月27日 20時