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118.知らなくて良いこと ページ18

「では、家からは出ないように。

 それからこれを。」



「なんだい?」



「藤の花が入った御守りです。鬼除けになります。

 もし鬼が出たら叫んでください。

 必ず私が駆けつけます。」



「分かったわ。お嬢さんも気をつけるんだよ。」



「はい。ありがとうございます!」



 一通りこの辺りの住民には声をかけられたかな。


 道行く人も少なくなって来た。



 花子さんと合流すべく

 明かりの減ってきた街中を歩いていると、

 背後から肩を叩かれた。



 振り返ってみると、そこには知らない男性が3人。



「こんばんは。

 鬼が潜伏している可能性があります。

 お兄さんたちも早くお家へ…」



「間違いないな。

 さあ、お姉さんも一緒に行こう。」



 不意に腕を掴まれ、

 男は骨が折れそうなほどに強い力で私の腕を引く。



「私は任務がありますので、離していただけませんか?」



「噂通り、正義感だけは一丁前だな。」



「噂…?何のことですか?」


 
 男たちはにやにやと不敵な笑みを浮かべて

 無理矢理私を連れて行こうとする。


 もうあんな思いは二度とごめんだ…

 



 過去の嫌な思い出が蘇り、身体が震え始めた。






「その噂というのは根も葉もない全くの出鱈目だ!

 彼女から手を離していただきたい。」



「あ?何だお前?」




 不思議だ。


 彼の声を聞くと身体の震えが止まる。




「俺は鬼殺隊炎柱、煉獄杏寿郎だ。

 その人は俺の命よりも大切な人だ。

 手荒な真似はしたくない。今すぐ手を離せ。」




 月下に煌めくその瞳は

 幾つもの星を集め、鋭い光を放つ。




「チッ。お前ら、帰るぞ!」



 杏寿郎の気迫に押された男たちは

 駆け足でその場を後にした。




「杏寿郎、ありがとう。

 情けないなあ…

 あの日以来、見知らぬ男性に近づかれると身体が震え出して

 自分ではどうにも出来なくなる。」




 彼は私の手を握ると、

 何も言わず、何も聞かず、ただ黙って悲しそうに微笑んだ。




「あの…噂って何のこと?」


「君は知らなくて良いことだ。」



 知らなくても…良いこと?

 つまり教えたくないってことかな…


 杏寿郎は私が傷つくと思って

 内容を話さないのかもしれない。



 どうやら自分の知らないところで

 嘘の噂話をされてたようだ。




 でも、どうして…?

119.言葉は→←117.噂話



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» misakimiさん、コメントありがとうございます!夜空に咲く花のシーンは、私自身お気に入りのシーンなので、そう言っていただけて、とても嬉しいです!ありがとうございます。 (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 夜空に咲く花を背にした二人の情景が浮かぶ綺麗な文章にも癒されました。 (2022年6月12日 18時) (レス) @page44 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - ストレートに伝えて下さる煉獄さんに、またまた癒やされました。本日もご馳走さまでございます! (2022年6月12日 18時) (レス) @page43 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - エリスさん» エリスさん、応援ありがとうございます!ずっと読んでくださっているだなんて感激です♡ 更新の励みになります!ぜひ、最後までお付き合いくださいませ。 (2022年5月5日 0時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
エリス(プロフ) - 第三弾おめでとうございます^ ^こっそりとずっと読んでます(笑)これからも応援してます! (2022年5月4日 23時) (レス) @page12 id: 8779dd4f89 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年4月27日 20時

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